野崎智也

チョコレートドーナツの野崎智也のレビュー・感想・評価

チョコレートドーナツ(2012年製作の映画)
5.0
まさに「こんな映画をもっと作って欲しい」のお手本のような作品。
高校の授業なんかで見せて欲しいぐらい。

作品内で登場するセリフ、取り巻く人達の冷たさや非情さ、展開、全てがリアルに感じた。
とても胸糞なんて言葉で表現しきれるものではなくて、胸が苦しすぎるが、これこそエンタメ作品として世に出す意味が存分にあると感じた。

お涙頂戴映画はかなり苦手なのだが、全てが説明的ではなく、少ないセリフでも俳優さんの表情で十分伝わってくるのが素晴らしかった。
個人的にはポールに好意を寄せている同僚の女性が、全てを知った時の表情がめちゃくちゃリアルで、嫌悪感が凄かった。

自分はLGBTQでもダウン症でもないけど、ここまで主人公たちに感情移入出来る作品はほぼないと思う。
それも、主人公たちの目線でこちらを見つめられているようなカメラワークが散らばっていた効果なのかも。

自分の胸に手を当てて、これまで周りのマイノリティの方に同じような態度や言葉を発していないか、深く考えてしまう名作でした。
野崎智也

野崎智也