松下怜司

チョコレートドーナツの松下怜司のレビュー・感想・評価

チョコレートドーナツ(2012年製作の映画)
4.2
本当に人間とは自分勝手な生き物。
普段は社会的弱者(この映画では同性愛者や障がい者)の事を気にも止めずに、自分にとって当たり前の事や都合のいい事のみを受容して生きているが、いざ偽善心が芽生えるとそういった社会的弱者を下に見て、図々しくも干渉してくる。普段は見向きもしないくせに。
「あんたらが気にも留めない1人の人生の話だぞ」この言葉がとても心に残った。

「母親も障がいも望んで産まれてきたわけではない」と諭すルディは、同性愛者として生まれてきたのは先天的なもので、その為に生きづらい世の中を生きてきた自分の人生をマルコに投影しているのだと思った。

デモテープのレコーディングのシーンでの彼らの幸せな日々はフィルムカメラ特有のザラザラ感と温かみのある色調で凄く綺麗だったと同時に、この幸せな日々が長くは続かないのではないか思わせる儚さも含んでいた。
松下怜司

松下怜司