nujaret

チョコレートドーナツのnujaretのレビュー・感想・評価

チョコレートドーナツ(2012年製作の映画)
4.8
同性愛への偏見や貧困による親のネグレクト、ダウン症患者への社会的ケア不足など、別個に扱っても難しいであろうテーマをうまく融合させコンパクトにまとめている点が非常に高評価。
現代ではわずかながら理解も進んだと思われるLGBTQへの風当たりも、70年代後半という時代ではカミングアウトなどもってのほか、周囲にバレてしまっては自身の社会的地位が足元から崩落してしまうため、必死に隠し通して暮らすほかなかったのだろう。
マルコとゲイカップルとの何のつながりもない擬似家族について、鑑賞者は映画というメタな視点で内情をみることが可能であるため、彼らの間に強い心のつながりが存在していることを理解できるが、当時の無理解な社会的通念下の第三者的視点では、この数奇な関係性は許容し難いのかもしれない。「時代が悪い」で安易に片付けることができないほどに、物語は悲しい結末を迎える。
nujaret

nujaret