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チョコレートドーナツのTのネタバレレビュー・内容・結末

チョコレートドーナツ(2012年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

ただただやるせない現実が横たわってる作品だった。

こういうの日常でありありとみられる光景。
差別するなと言いながら、そのすぐそばで意識的に無意識的に、人は差別してる。
区別して、上下を作って、自分は安全で、自分は正しくて間違っていないと思わないと人は生きていけない。
差別は大衆が作る。
だからこそ大衆の中にいては本当のことは見えない。
しかし大衆の中でないと人は生きていけない。
同じであることに安心し、異質なものを排除する行為は遺伝子レベルで組み込まれてる人の性。

自分にもそういう部分があることをせめて忘れないで生きていたい。

正しい正しくなんかより、自分自身に恥じる生き方はしたくな否と改めて強く思う作品だった。
正義なんてものが存在しないのなら、正しさなんかなくても良い。
恥ずかしいことをしたくない。

てか最後死んじゃったの...?
愛されることがない人生の中、ひと時でも精一杯愛情を受けることができたマルコは幸せだったのだろうか。逆に不幸な事だったのだろうか。

知らずにいたらわからないでいられる地獄も確かにある。
そう思えば自らの正義で動いたゲイカップルが正しかったのかも謎になる。

物もわからない子供にとって、生まれる家庭で既に優劣はつく。
人は平等ではない。生まれながらに差別されてる。
そんな現実を突きつけられる作品でもあった。

そんな中ただただ、自分もあのカップルの家に生まれたかったなと切実に思った。

どうか目の前にあるもの、自分自身を精一杯愛してほしい。
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