クリストフォルー

チョコレートドーナツのクリストフォルーのレビュー・感想・評価

チョコレートドーナツ(2012年製作の映画)
4.0
劇場鑑賞時(2014.5)には主演二人の演技に魅了されただけだったが、LGBTQへの理解が進み、同姓カップルが養子を育てることが社会的に容認される時代を迎えた今、作品自体の重みも増したと思う。2020年12月には、東山紀之と谷原章介で舞台化されるようだが、欲を言えば、主演のどちらかはLGBTQの俳優を起用してほしかった。ダウン症の子役が演じるというチャレンジも含めて、観に行きたいけど、客席は半分だろうし、チケットが取れるかしら。

このサイトで演劇の感想を記すのは気が引けるが、大阪公演の最終日(2021年1月25日)を観劇してきた。コロナ禍の中で、延期や回数の縮小を余儀なくされながら実現した公演。思い出したのは、15年前に同じ劇場で観た『トーチソング・トリロジー』だ。映画の記憶はおぼろげになっていたが、元々舞台作品だっただけに、安心して観ていられた。三部構成の複雑さも、主演の篠井英介に橋本さとし、そして、舞台では初見だった長谷川博己らの好演に援けられ、最後まで乗り切れた。木内みどりさんも良かった。合掌。
宮本亜門がこの舞台を意識していないはずは無く、私小説的な『トーチソング~』に、より社会性を加えた作品として『チョコレートドーナツ』を舞台化しようとしたのだと思う。
持ち前のチャレンジングな姿勢で役に取り組んだヒガシのパフォーマンスは、違和感を払拭させる仕上がり。もちろん、谷原、高畑らの役への没入度も見事で、このカンパニーへの信頼度を高めてくれた。そして、少年役の丹下君も好かった。できれば、Wキャスト両方とも観たかった。
愛することは、常にチャレンジ。十分ではなくても、まず、愛し始めなければ、その日は来ない。“ANY DAY NOW”
『トーチソング~』だけでなく、『RENT/レント』『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』そして、あの『キンキーブーツ』のように、キャストが変わっても、再演、再々演される舞台化は出来たんじゃないかと、わたしは思うんだが…。
とりあえず、廉価版のBDを買おう。

大阪公演の最終日から一ヶ月経って、マルコ役を務めた二人、ハルカとカイトの一年間に密着したドキュメンタリーが、BSで放映された。
ミュージカルの『アニー』や『ビリー・エリオット』のドキュメント番組と違い、演出家や共演キャスト、それに彼らの母親、父親。みんなが手探りで、二人それぞれの歩みに寄り添いながら、上演へと導いてゆく。その過程に、息詰まり、そして、頷かされた2時間だった。やはり、再演に値する舞台だと思うよ。
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