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プリズナーズのtomoのネタバレレビュー・内容・結末

プリズナーズ(2013年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

良質なサスペンス。伏線の潜ませ方が自然で見応えあり。
父は娘を案ずるがあまり暴走するがそれでも敬虔なキリスト教徒の姿を崩さない。異教徒と示唆される刑事が必死になりつつ冷静さを保つのとは対照的。犯人は敬虔な信者であったがゆえに自分の子供を失った絶望から悪魔に成り下がった。
容疑者は複数現れるが、いずれもまともに話のできる人物ではなく怪しいが決定的な証拠はなく観客も終盤まで振り回される。
結果的には父と刑事2人それぞれの執念が(協力してではなく)それぞれバラバラに噛み合ったことにより娘は助け出されるが、スッキリ犯人を見抜いたとか追い詰めたという感じではなく、偶然の積み重ねの要素が強い。
残虐な拷問を加えられた容疑者も、拳銃自殺に追い込まれた容疑者も、どちらもこの展開がなければ結果的に娘は見つからなかったと言えるが、どちらも実は被害者であり、彼らを傷つけ追い詰めることそのものは犯人追及に必須ではなかったのが皮肉。
その罪滅ぼしかのように父は閉じ込められ、諦めず神に祈ったことで最後は助かる(ことが示される)が、それでも監禁暴行の罪で刑務所行きは避けられないことが示唆される。
刑事もまた傷を負う。助けた少女に心から感謝されるかと思いきや意外とあっさりというか無表情なのがまた切ないと言うか皮肉というか。
少女の母はきちんと刑事に感謝するが、夫が見つかっても罪に問われることは避けられず、それでも娘を助けるための行動だった、夫は「Good man」だ、という言葉がなんとも空虚に響き、刑事もその言葉に肯定的に頷くことはしない。
最初に誘拐したアレックスをどうやって甥と偽って養子にできたかとか、迷路が解けて解放した子供から(いくら薬で記憶を曖昧にしてるとはいえ)足がつかないのかとか、刑事が単独行動しすぎだろとか若干のツッコミどころはあるが、最後まで飽きさせないスリルと重みに溢れた良作。
最後に一つ。アレックスが散歩させてたワンちゃんが結局どうなったのか気になって仕方ない。ま…まさか誘拐した時にお父さんが処分した…?あのアルカリ剤(?)ってそのために使ったってこと…?と不安になりこのためだけにわざわざ早送りしつつ見返したが確証が持てず。英語字幕しかない環境なので見落としたかもしれず、誰か教えてくれ。もし処分されてたら父の好感度ダダ下がりである(笑…いごとではない!)
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