Masato

プリズナーズのMasatoのレビュー・感想・評価

プリズナーズ(2013年製作の映画)
4.6
ドゥニヴィルヌーヴ監督長編作品初鑑賞

最高のサスペンス。

この映画の暗く重い雰囲気や、余韻の残し方や、オチのつけ方がたまらなく好きだった。
ロジャーディーキンスの撮影、ヒュージャックマンとジェイクギレンホールの迫真の演技。快感と胸糞悪さが同時にやってくる展開。

キリスト教原理主義の父親と、フリーメイソンの指輪や名前のロキやら星座やら干支やら、様々な思想を持っている警官。
一神教であるキリスト教信仰心が強い父親ケラーと複数の宗教色が入り混じっている警官が対立的に描かれていて、ストーリーは分かるのだが、この映画の本質がとても分かりづらい。

強いて言えば、アメリカの暗部を映画全体で描いていたと思う。
やられたらやり返す。これは、テロリストとの報復のしあい。
憶測だけで罪を強引に押し付ける。これは、イラク戦争で核があると憶測で押し付けたこと。
他にも、様々な暗部がメタファーとして存在していたと思う。


プリズナーズ
意味は「囚人たち」だが、このタイトルが意味するものを考えてみて、劇中の様々な箇所でシーンとして囚人となる場面が写るのだが、映画全体を客観的に見て思うのは、ある一つの物事に囚われること意味していたと思う。
宗教に囚われる、愛に囚われる。劇中には様々な囚人がいる。
これは、一神教への警鐘なのかもしれない。


テーマは物凄く難しい。
反社会的思想や、危険思想は根絶することはない。人類が存在する上で避けられないことだ。この映画で、犯人に対して非常に憤りを覚えたが、だからといって一方的にそういう思想を見抜くことはできないし、それが誰かに操られている可能性もある。
日常的に潜んでいる脅威。私達が注意しなければならないのかもしれない。
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