カフカさん

プリズナーズのカフカさんのレビュー・感想・評価

プリズナーズ(2013年製作の映画)
4.3
重厚な映画。
上映時間もそこそこあるので、少し中弛みはあったかもしれない。最後まで犯人が分からない展開が魅力の映画かもしれない。

【あらすじ】
ドーヴァー家とバーチ家は、感謝祭のパーティーをしていた。しかし、一時的に外出した幼い娘たち(ドーヴァー家のアナとバーチ家のジョイ)が行方不明になる。
すぐに容疑者としてアレックスという男が浮上する。しかし、彼は10歳程度のIQであり、まともな証言が得られなかった。警察は彼を釈放することに。

アナの父親のケラー・ドーヴァー(ヒュー・ジャックマン)は、警察の捜査が進展しないことに腹を立てて、釈放されたアレックスに詰め寄る。その際アレックスが発した言葉により、ケラーはアレックスが犯人であり、事件の真相を知っていると考えて…。

その一方で、ロキ刑事(ジェイク・ギレンホール)は、ドーヴァー家、バーチ家やアレックスの伯母を訪問し、聞き取りを行う。
また事件の真犯人がいると考えて、過去に性犯罪の前科がある者を調べるなど独自の操作を開始すると…。


【感想】
ヒュー・ジャックマン演じるケラーが、犯人を探すために、娘の居場所を知るために手段を選ばなくなるのが怖かった。
だけど、彼の怒り、悲しみや苦しみだったり、妻が錯乱状態に陥っているのを考えると気持ちは凄く分かる。

娘が誘拐されて、容疑者として見なされていた人物が釈放される。だけど、事件に進展がなく、他方でその人物が事件への関与を仄めかす発言をしている。この時にお父さん(ケラー)が取った行動は許されないけど、娘や家族を想ってがゆえの行動なんだろう。何としてでも娘の居場所を突き止めたい、そして犯人に復讐したいというのは自然な感情だと思った。
また、同じく娘を誘拐されたバーチ家夫妻のケニーに対する態度がズルい気がした(特に夫のフランクリン)。

また真犯人が全く予想できなかった。伏線やヒントもなかったように感じた。
登場人物も結構出てくる分、最後まで展開や犯人が読みにくくて、それはそれで楽しめた。

また、キリスト教の要素が濃い映画。
娘を誘拐されたケラーは信心深い信者。真犯人は神を呪っている人。ロキ刑事は異教徒(合理的、理性的)…らしい。
だけど、ケラーという信心深い人物が悪魔のようなことをするのは、ある意味印象的。『プリズナーズ』という題名の通り、皆何か囚われてる人たちなのかもしれない。

このキリスト教的要素は物語の展開やラスト、それぞれの人物の役割にも大きく絡んでくる。また、その意味では少し難解な映画でもあるのかもしれない。
ラストもわりと好きだった。
(宗教、特にキリスト教の知識があると洋画がもっと楽しめるのかもしれないと思ったり)

色んな人物が出て来て関係性などが分かりづらかったが、最後まで見ると一応はすっきりした。
だけど、依然として謎があるので、解釈の余地がある映画でもあるのかもしれない。

ヒュー・ジャックマンの正気を失い、狂気に満ちた演技、彼とは対になる冷静さを見せるジェイク・ギレンホールの演技も凄かった。
ジェイク・ギレンホールは感情をストレートには出さないけど、表情で出すのが上手いなぁと感じた。彼が演じるロキ刑事が一度だけ感情を露にするシーンがあり、そこも印象に残っている。
カフカさん

カフカさん