ペジオ

ジュラシック・ワールドのペジオのレビュー・感想・評価

ジュラシック・ワールド(2015年製作の映画)
4.0
ジュラシックシリーズも思えば遠くへ来たもので…
一作目のキッチンでのシーンに顕著だった静と動の緩急効かせたサスペンスはもはや本作には無く、あるのはひたすら足し算の大騒ぎである
(一作目に関してはスピルバーグの資質に依る所も大きいと思いますが。)
シリーズを銘打ってはいても別のベクトルを目指した映画なのだろう
キャストを総入れ替えした事からもそれは明らかである

今までのシリーズ…特に一作目で感じたのは、「所詮人間など生物の大先輩である恐竜の前ではちっぽけな存在なのよ」という安心感にも似た諦念であった
それはあくまで人間たちが主役として、そして恐竜が「ひとくくりの脅威」として描かれていたからだろう

しかし本作では恐竜たちは個別に、そして明確に「キャラクター化」されている
シリーズで恐らく初めての「純然たる悪役」として設定されたインドミナス・レックスの堂々たる悪役っぷり(考えてみればこいつもフランケンシュタインの怪物的な哀しい悪役だ。そういう風には微塵も描かれていないけれど。)、チーム・ラプトルの愛らしさや忠誠心、そして「よっ!TーREX屋!」とでも声をかけたくなるティラノの大物感
ステレオタイプな人間たちのキャラクターを差し置いて実に魅力的なこと

こうして観るとこのシリーズは本作でようやく「恐竜たちが主役の映画」になっ(てしまっ)たのではないか?
僕は完全に別物になったこのシリーズ最新作を大いに歓迎したい!
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