「囚われの街」

本作はロバート・ワイズ監督の1952年の作品で、この度DVDで初鑑賞した。ある地方都市の警察署に緊張した様子で男と女が駆け込んできて、とある街の新聞社の編集者で、ある件で彼に助けを求めていた男が突然、変死してしまう。警察を巻き込んだ組織犯罪の実態を探り出した物のつかの間、組織から追われる身になってしまう。1949年から53年までのアメリカの上院で組織犯罪撲滅の委員会が作られた大きなニュースになった結果、ハリウッドでもラングの復讐は俺たちに任せろなど多くの組織犯罪を描いた映画が作られたが、この作品もその一作。あらゆるジャンルの作品を取り上げた巨匠ロバートワイズがホーグレンズと言う広角レンズを使って前編ドキュメンタリータッチで生々しく描いた名作である。

記者が町の組織犯罪を暴こうとしてあらゆる妨害、脅しが入るっていうよくある話。まあまあ面白かった。画面の外への視線と表情の演出が秀逸。

主人公の妻の「あたしは西部劇のヒロインとは違うのよ！」という台詞が印象的。確かにこの時代の置物というか守るべきものとしか演出されないジャンル映画における女とはちとキャラが違っていた。