カズミ

インサイド・ヘッドのカズミのネタバレレビュー・内容・結末

インサイド・ヘッド(2015年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

『ソウルフル・ワールド』が公開されるまで、ピクサーの絶対的1位はこの作品だった。腐るほど見たが、未だに飽きない。
潜在意識や感情の実体化など、個人的に好きなテーマが詰め込まれており、転校により環境が変わることの不安など、幼い時分の経験が蘇って、より深く物語に入り込めたのが理由なのかもしれない。

序盤でヨロコビの言動に苛立ちを募らせていると、一緒に見ていた母はカナシミに苛立ちを募らせており、人によって解釈は様々なのだなあ、と不思議に思ったことをよく覚えている。
言動をヨロコビに阻止され続けるカナシミは、物語開始時点では押しが弱く、自分の行動理由を上手く言語化することができない。
ネガティブよりもポジティブに。ライリーがそういう考えの持ち主だったからか、“哀しい・痛い・辛い”といった感覚が未発達で、折り合いの付け方に戸惑っているのが見受けられる。過去を思い出すと悲しくて、もう寂しい思い出にしてしまいたいのに、そんなことは許さないとばかりにヨロコビに阻止されてしまう。
この辺りの感情のもどかしさをキャラクターを通して、一連のストーリーに変えてしまうのだからピクサーはすごい。

考えの列車や夢スタジオ、イマジナリーランドなど、好奇心を刺激される世界観に溢れているが、中でもビンボンの描写には唸ってしまう。成長過程でいつの間にか忘れていく幼少期の思考・イマジナリーフレンドの消失を、作中あんなにも切ない形で登場させるなんて。

現実的には、一見すると思春期前の少女の苦悩と些細な反抗に過ぎない話だが、その胸中ではこれだけの大冒険が繰り広げられているのだ、と一人の人間を深掘りできる造りになっているところが大好きです。
温かさと切なさを与えてくれる、私にとっては大切な作品。

作中チラリと登場するキャラクターや犬、猫に至るまでの感情のやりとりが覗けるエンドロールも楽しいので、最後まで抜かりない点も推せる要因です!
カズミ

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