ヤッター

アーロと少年のヤッターのレビュー・感想・評価

アーロと少年(2015年製作の映画)
3.5
3月19日鑑賞。
15年前くらいでしょうか。ディズニー映画で『ダイナソー』なるものがありまして。こちら、確か「最先端の映像技術」が売りだったと思います。実景とCGの融合だったかなあ、その当時は、小学生ながらすごい時代になったなと感心していたのですが、今回の『アーロと少年』の映像技術は、とんでもないレベルにまで到達しております。しかも、全てCGで。

川、森、自然現象などなど、圧巻の一言。恐竜たちも、顔は思い切りアニメのデフォルメが効いているのに、肌の質感(内出血の様子とか、水に濡れた後の光沢とか)が、まぁリアル。作品を出すごとに高まっていく表現技術がピクサー映画の見所であるのですが、今回は一つの到達点と言っても良いのではないでしょうか。

ストーリーも安心・安定のクオリティ。いちいち伏線が生きてくるのが見ていて気持ちいい。言葉ではなく、アクション(動き)で示すことも観客の感情に訴えてきます。ネタバレになるので詳しくは言えないのですが、「家族」に関するあの表現、素晴らしいの一言。劇場でもすすり泣く声が多数。納得の感動シーンでした。

ただ、所々に入ってくる「毒っ気」が、スパイスというか、ハバネロみたいな刺激でクラクラしてきます。
木の実を食べてラリっちゃうところも、インサイドヘッドの抽象化空間を思い出す描写だったわけですが、僕がクラクラして仕方なかったのは、動物の描写。先述した映像技術で表現された、恐竜と人間以外の動物について、存在するかどうかもわからないような古代生物にも関わらず、気持ち悪いくらいのリアリティなのです。そのくせ恐竜や人間の顔はアニメ顔。非現実なのに現実的。そのインパクトが強すぎて、折角の先述の感動シーンも乗り切れずという感じ。いや、いいシーンなんですよ。

ラストの『ベストフレンド』もなぁ。日常的に聞いているからか、逆に現実に引き戻されて興ざめ。いや、いい歌なんですよ。でも、やっぱり…ねぇ。

色々書いたけど、いい作品であることには間違いありません。
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