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007 スペクターのm-oのネタバレレビュー・内容・結末

007 スペクター(2015年製作の映画)
2.5

このレビューはネタバレを含みます

自分にとって前作のスカイフォールが007というシリーズのイメージを根底から覆されるほど本当に衝撃的で。あの名作のスタッフが再結集するということで心待ちにしていた2015年中トップクラスの期待作!…だったんだけどこれがなんとも満足のいかないものになっていた。

個人的に納得がいかないのがボンドとオーベルハウザーの関係について。前作のシルヴァはボンドの写し鏡のような存在であり、Mという母親への歪んだ愛からボンドと対立し、結果としてボンドを一人の男として自立させる役目を果たしていた。一方で今作のオーベルハウザーはやはり父親を奪われたことに関してボンドへの執着を抱いているものの、その設定がどうにも二番煎じな感が強い上にそもそも前作ほどうまく機能しておらず、その必要性に疑問を感じざるを得なかった。
そんな思わせぶりな設定の上にクライマックスでわざわざ前作を裏返したような旧MI6本部での逆ホームアローンじみた構成にしたのも詰めが甘いというか…
今までのお礼参りがしたかったにしても写真の中にMr.ホワイトまでいるくせにドミニク・グリーンは入ってないし、じゃあボンド的にはル・シッフェルもそこまで思い入れのある敵でもない気がするし、ドミニクは別組織だってんならそもそもシルヴァがオーベルハウザーの下に付いてるってところがまず気に入らないし。ファザコンよりマザコンのほうが強そうなんだけど!

それと本当に納得できないところがもうひとつ。それが前作で世代交代をテーマに描き、00部門ひいてはジェームスボンドの必要性を問うた上で、それをあっさり覆すようなラストを選んだこと。前作で新しくスタートしようとした007の新時代を同じスタッフがたった一作で閉じてしまっていいものだろうか。そんなラストもエンドロールのお約束の一文がなければ受け入れられないこともないのだけど、そこはいつも通りなところにこの作品が勝負から逃げているように思えてしまう。

スカイフォールと比べるとパワーダウンしているというだけで、アクションシーンは過去作に負けず劣らず見応えがあったし、列車内でのやり取りやスペクター基地内の雰囲気はレトロな表現を現代流にアレンジしたようで観ていて飽きないものだった。オープニングの狙撃ポイントまでの長回しは素直に感心しました。でもオマージュに留まらず、ことあるごとに前3作との繋がりを映すことで逆に以前の作品と否が応でも比較せざるを得ない結果になったように感じる。結局、自分が観たかったのはスカイフォールの続編であって、いつもの007じゃなかったんだろうなー。
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