故ラチェットスタンク

007 スペクターの故ラチェットスタンクのレビュー・感想・評価

007 スペクター(2015年製作の映画)
3.1
OP以降の評判が悪いのは知っていたのだが、それでもOPの長回しを観て「これ、意外と傑作なのでは?」と思ってしまった。
総論としては「うん、オッケ」と言う感じ。

アクションやストーリー面で「ダークナイト:ライジング」のアメコミ芝居度の増量よろしく007本来の持っている荒唐無稽さの増量をやってくれたのは、それはそれで良いと思うのだが、このシリーズにあまり合っている様には思えなかったし、必要だとも思えなかった。

僕にとってのクレイグ版007はノーラン映画の様な物で、「ど真面目にやっているのにバカが若干漏れてる」シリーズで、明らかにボケようとしているものを見せられると正直言って覚めてしまう。
ユーモアに関しても少し狙いすぎだ。「スカイフォール」や「カジノロワイヤル」の様な真面目さの中にある知的な言い回しや思いがけないところでのボケ暗いがちょうど良い塩梅だったのに、今作はMCU的な軽口が多くてちょいと食傷してしまった。

ヴァルツ御大の力を持っても、小物感あるラスボスが驚異的に映る瞬間は少なく、物語的な集大成として結構残念。
バウティスタももう少し面白くしてあげて欲しい。

テンポ感の悪いチグハグな運びや、荒さをスルーできない脚本、平淡なロマンス、画力が抽出されてしまったかの様な映像とアクションに、眠気を誘われるばかりだったよ。

前作までの流れやトーンから切り離して観るとそこまで楽しめないこともないのだが、やはりそれでもつまらないと感じてしまう。