故ラチェットスタンクさんの映画レビュー・感想・評価

故ラチェットスタンク

故ラチェットスタンク

デューン 砂の惑星PART2(2024年製作の映画)

4.1

 抑圧と解放、激震と静寂のミルフィーユ構造を包括する、厳かな制御による支配(=コントロール)。無機的に均した演出構成が広大な砂漠に映える。
 活劇、躍動、情動、暴力、復讐、本来エネルギーを増大させ乱れ
>>続きを読む

トップをねらえ2! 劇場版(2006年製作の映画)

3.0

音響が一部変更。イナズマダブルキックの回転。バイノーラルを意識した音使いになっている。追加シーンによって別バージョンの『トップ2!』と言った趣。ただ話はどうしたってブツ切りなので特に感心せず(厄介な原>>続きを読む

夜明けのすべて(2024年製作の映画)

4.0

サスペンスとリラックスの間というか。それをサスペンス(宙吊り状態)と呼ぶのかもしれないのだけれど。「関心がどこまで続くか」という緊迫の続く玄関口での会話の応酬は白眉。フィルム撮影の美しさ。自転車の移動>>続きを読む

レザボア・ドッグス デジタルリマスター版(1992年製作の映画)

4.3

このレビューはネタバレを含みます

『貯水池の犬たち』

 劇場で数年ぶりに再鑑賞。とても良かった。ぶっちゃけ映画としては中盤あたりから破綻してくんだけどアバン〜ブロンド登場まではすごく綺麗。時系列のシャッフルでダレ場を無くしつつ、その
>>続きを読む

ザ・ガーディアン/守護者(2022年製作の映画)

3.8

『保護者』

 レフンっぽい、レフンっぽいと言われていたのでどんなもんかなと思って観てみたら本当にレフンっぽかったです。『オンリー・ゴッド』を思い出しました。ああいう静謐でシュールなニュアンスが好きな
>>続きを読む

長靴をはいた猫(1969年製作の映画)

3.9

こういうロイヤルロードの作品にナイズされてるのがちょっと悔しいような気がしつつ、どうしても心躍ってしまう。アーキタイプ的な。

ボーはおそれている(2023年製作の映画)

4.4

『哀れなるものたち』

 仰々しいまでの0・100の戯画化で進行していく狭窄な作劇。有り得て欲しくない事、有り得て欲しい事(そしてそれは有り得ない事)の総体としてこのフィクションは構成される。大袈裟な
>>続きを読む

マダム・ウェブ(2024年製作の映画)

2.5

『激突』

 不謹慎な話だが轢殺は画になる。人体が車体によって横薙ぎにされる刹那には理不尽で一方通行な暴力と権力関係が現れる。それも強制的に。車体が大きければ大きいほどこれは頑強になっていく。
 この
>>続きを読む

ストップ・メイキング・センス(1984年製作の映画)

4.7

レストア版をIMAXで2回鑑賞。なるほど非常に映画的だ。ファーストショットの照明・構図の作り方から痺れる。足元の動きが終われ、目線が上がるとデヴィッド・バーンの顔がデカデカと画面を埋める。この一連の動>>続きを読む

ストップ・メイキング・センス 4Kレストア(1984年製作の映画)

4.7

トーキング・ヘッズサイコーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!

哀れなるものたち(2023年製作の映画)

4.0

すげえ分かりやすかった。無邪気さ→好奇心→三大欲求の発見→知識への傾倒→政治的な思想形成と実践→自己規定、とサーっと捌かれてカチッと終わった。細かいところを難しい顔しながら沢山語れるだろうけど大まかな>>続きを読む

恐怖の報酬(1953年製作の映画)

4.4

これを観たあとにフリードキン版を思い返すとあの作品が如何にダイナミズムに依存しきった支離滅裂で出鱈目な(のに成立している不可思議さを持っていた)産物だったかが分かる。それほどまでに、丹念で緻密な積み立>>続きを読む

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)

4.2

『完璧な日々』

 人はこれを目指し、ルーティーンのように日々をこなす。早起きして布団をたたみ、観葉植物をケアし、小銭を切って安いコーヒーを飲み、職場での道のりでカセットを再生する。洗濯物が溜まるとコ
>>続きを読む

もっと遠くへ行こう。(2023年製作の映画)

2.8

うーん…。単調な話なのに進行がまどろっこしくて楽しめなかった。70分でまとめて欲しい。イアン・リード的、と言っていいかは分からないけれど『もう終わりにしよう』なんかでもお馴染みな神経質さも今回はあまり>>続きを読む

恐怖の報酬 オリジナル完全版(1977年製作の映画)

4.4

『運び屋』

 絶句した。何かしらのアクションとサスペンスの数珠繋ぎでシーンを捌いていく手腕に垂涎。映画的な時制の豪胆さ、場面同士が出鱈目に繋がれていく快楽。「極限状態下で疲弊していく姿」を客観的に淡
>>続きを読む

傷物語-こよみヴァンプ-(2024年製作の映画)

4.4

『欲動(リビドー)』

 シュールでグロテスクで官能的な空気を堪能するにはやはりこれ以上ない奇譚だ。仰々しいグルーヴの美学。とにかく建築物と諸々のオブジェクトが映えまくっている。人気のない寂れた空間の
>>続きを読む

ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3(2023年製作の映画)

-

初め見たときは自分でも信じられないぐらい受け入れられなくて、そこからしばらく悩んで結論を一旦出したものの、再びかなり悩んで、やはり点数は付けないことにした。基本的には「執着を手放していく」話だけど、自>>続きを読む

レッド・ロケット(2021年製作の映画)

4.4

これも、地平線が真ん中にある画が多いんですがどの画もキメキメでサイコーでした。シネスコ使い上手すぎ。130分のランタイムで良い絵が詰まりまくってるので一切退屈しない。会話の応酬、視線の交錯、水平移動の>>続きを読む

対峙(2021年製作の映画)

4.2

『フェイブルマンズ』で地平線は上か下だと教えられた直後にこの映画を見たのですが、滅茶苦茶地平線が真ん中にあって、しかもちゃんと良い画になっていて混乱しました。やっぱシネスコとか画角によって変わるもんだ>>続きを読む

ナイトメアー・ビフォア・クリスマス(1993年製作の映画)

3.8

なんかちょっとマッチポンプ過ぎるというかあまりに一人相撲過ぎてお話は何じゃそりゃって感じですが、美術と音楽は総じて最高です。ドップリ浸りました。子どもの遊び声ようなワシャワシャした騒がしさが良い。

TALK TO ME/トーク・トゥ・ミー(2022年製作の映画)

3.9

『RackaRacka』

というYouTubeチャンネルをみなさんはご存知だろうか。名前を知らなくとも彼らの作ったスカムな動画郡なんかを知っている方はいるのではないだろうか。ドナルドが子どもを襲う恐
>>続きを読む

ベネデッタ(2021年製作の映画)

4.0

どこからがウソでどこからがホントなのか、そういう境界みたいなものは判然としておらず、ただ「確かなモノ」と、その揺るぎなさの一点において信仰は成される。ニセモノなのかホンモノなのか、どちらとも取れるが少>>続きを読む

フェイブルマンズ(2022年製作の映画)

4.3

カメラを何かに向けた時に勝手に何かを切り取ってしまうことの怖さやそれが何かを切り裂いて起こる悲劇とか、色々ありますが全部ひっくるめて映画って面白いものだと思いますし、映画って「面白がれる」ものだと思い>>続きを読む

スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム エクステンデッド・エディション(2022年製作の映画)

5.0

『Take care of yourself.』

 これほどまでに貧弱で出鱈目な映像とプロットラインで走っていながら成立している映画にはこの先一生出会えないかもしれない。日常と非日常、虚構と現実、科
>>続きを読む

屋根裏のラジャー(2023年製作の映画)

3.6

6年ぶりぐらいのスタジオポノックで、スタイル、ルックの独自進化は勿論だけれど、それは置いといてコンセプトとのコネクションが強すぎて普通に気が気じゃなかった。自分もイマジナリーフレンドが居た側、というか>>続きを読む

ウォンカとチョコレート工場のはじまり(2023年製作の映画)

4.0

同時期に観た『ウィッシュ』より虚構への何かの仮託の仕方は今作の方が圧倒的に良かった。愚直に夢を語ることの美しさとリスクがちゃんと示されているし、そのリスクヘッジとなるガイドとサポートが丁寧かつアクティ>>続きを読む

夢のチョコレート工場(1971年製作の映画)

3.8

教訓が色々と詰まったダークファンタジーとして面白かった。ウンパ・ルンパの歌唱場面や船の高速航行など場面場面のトリッピーさが良かったけど、序盤の金チケット捜索戦の各所で現れるメガネのおじさんの不気味さが>>続きを読む

ウィッシュ(2023年製作の映画)

3.0

『Be Careful What You Wish for.』

 色々とNot for me…というかこの95分を「100周年の感謝&この先のお気持ち表明」的に受け取ってしまった。ある意味清々しいよ
>>続きを読む

>|