故ラチェットスタンクさんの映画レビュー・感想・評価

故ラチェットスタンク

故ラチェットスタンク

Love Letter(1995年製作の映画)

3.8

雪景色と温かな室内風景のコントラスト、寒と暖の往復が印象的だった。冬とモラトリアムはやはり最高のマリアージュだ。憧憬と情景の映画。

デッドプール&ウルヴァリン(2024年製作の映画)

3.7

このレビューはネタバレを含みます

『Forget Me Not』

 忘却(と、その催促)に抗う。消えていったあの人、この人を全力で手を伸ばして掬い上げてみせる。という強迫観念にも近い気概には、流石に目を見張るものがあった。

 進行
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エリン・ブロコビッチ(2000年製作の映画)

3.0

授業で見た。特に言うことがないので、何も言うことがないです。

化け猫あんずちゃん(2024年製作の映画)

4.4

『もっと遠くへ行こう。』

 私はそう口にして「いま、ここ」からの逃走を図る。目指すは世果て?桃源郷?あるいはユートピア?何だか知らないが、とにかく私は「全てが私の思い通りになる」場所へ逃げ延びようと
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恐怖の報酬(2024年製作の映画)

2.0

 唯一、100分に収めてる点だけは褒められるけれど、画面の練度、サスペンスとその積み重ねがあまりにも貧弱すぎる。クルーゾー版もフリードキン版も筋は違えど「ミッションの過酷さ」の一点は共通していた。ミッ>>続きを読む

SISU/シス 不死身の男(2022年製作の映画)

3.4

『シスの復讐』

 90分でサクッと観られる手軽さ。「舐めてたやつが実は…」系譜を馬鹿全開で、そして大真面目にやるので飽きなかった。

 常に何かしらサスペンスが用意されていて、場面ごとに何をテーマに
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曖昧な未来、黒沢清(2002年製作の映画)

3.8

嘘/本当、双方の振幅の中で輪郭を掴み、他者と同化している/いないことの振幅の中で究極的な孤独を知る。そういった営みとしての映画。

ザ・ウォッチャーズ(2024年製作の映画)

3.3

『WATCHMEN』

 娘さんの監督だけれど安定のシャマランシグネチャー全開!神話!SF!セラピー!後悔!それからやっぱ愛だよ!愛!って感じの和気藹々な102分。

 ワンシチュエーションモノとして
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落下の王国(2006年製作の映画)

3.8

えっと、キートン全然観たことないんですが、どうせ最後引用するならもう少しアクションで魅せたほうが良い気がします。静画も良いとは思うんですが。

荒野にて(2017年製作の映画)

4.0

冒頭と末尾で主人公が走るのと、馬が走るのは何かしらテーマと関係してる気がする。宇野常寛なんかは「走ることは世界との接し方の中で最も具合良い」的なことを言ってたけれど、多分そういうニュアンスが含まれてる>>続きを読む

さざなみ(2015年製作の映画)

3.8

柔らかく冷ややかな断絶。事実としてゆったりと確認されていく。抑え込んでいた溝が冷たく表出する。大体そんな感じだろうか。アンドリュー・ヘイやっぱムズイな〜。『異人たち』の親切さが身に沁みて分かる。

アカルイミライ(2002年製作の映画)

4.1

よく分からないけど、大丈夫そうなので良かったと思う。白昼夢映画。

オリオンと暗闇(2024年製作の映画)

3.4

 シナリオすごい変だけど、子どもの作る話として納得できるのと、かつての子どもを今の子どもが救おうとするストーリーになっているのが素敵だった。時間を超えたフィクション同士のカンバセーション。認知の歪みに>>続きを読む

マンティコア 怪物(2022年製作の映画)

3.8

なんかもうちょっと暴れるもんだと身構えてたけど普通にそんなことなく。勝手に肩透かし。

一応、3人で飲んでる時の「ゲーム内暴力」の話とクローネンバーグの話は--クローネンバーグっぽいなと思ってたら名前
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ルックバック(2024年製作の映画)

3.8

『Chain-Saw』

 扉越しに「有り得て良い」奇跡が通過する瞬間の煌めき。後悔と祈りが可能世界との偶然の交感を起こす。断たれた繋がりの回復のため、再び虚構へと向かう。--だってきっと、それを回復
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コヴェナント/約束の救出(2023年製作の映画)

3.5

美談っぽくなったらちょっと居心地悪いかな、と思ったけど、結構批判的なバランスで良かったと思う。恩義と絆の話でありつつ、神経質で肥大化したエゴと表裏一体の危うさがある。「呪い」と表現するのも納得。ラスト>>続きを読む

The Spirit of Wonder チャイナさんの憂鬱(1992年製作の映画)

3.7

鶴田謙二流漫画の描き方
①健康的な女性を描く。
②スケベオヤジを描く。
③優しい青年も描いとく。
④アナログの機械も描く。
⑤一途な恋愛模様も何となく描いとく。
⑥必要に応じて水没気味orやや壊れた都
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FLY!/フライ!(2023年製作の映画)

3.4

イルミネーション特有のやや行きすぎた適当さ満載なので特に琴線には触れませんが、作りは良いと思います。一応、飽きない83分ではあるので。鳥が飛んでるシーンは大体良かった。横軸と奥行き。都市が出てきてズン>>続きを読む

蜘蛛の瞳/修羅の狼 蜘蛛の瞳(1998年製作の映画)

5.0

『虚無は不幸じゃない。』

 しかし、もう少し複雑だろうか。あるいはもっと単純かもしれない。だが、きっとどの価値判断も彼の前ではその機能を果たさないだろう。冒頭、パラシュートのエピソードがそのまま映画
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蛇の道(1998年製作の映画)

4.4

『俯瞰風景』

 廃墟に幾人かが集まり無機質なコンクリートに囲まれ堂々巡りを行う。せせこましい取っ組み合いが枠外で起こり、人のテリトリーがサラリと侵犯され渇いた暴力が振るわれる。多くの場合出ちゃいけな
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蛇の道(2024年製作の映画)

3.3

 1985年のオリジナルの『蛇の道』は、場当たり的で先の見えない、そして段々と身も蓋もなくなってくる話運びの中に陰惨で無情な渇いた暴力描写と不気味な人間描写の大喜利が細かく混ぜ込まれていて、とにかく上>>続きを読む

チャレンジャーズ(2023年製作の映画)

4.4

『ある状況を作り出したい。』

 そこに結果は関係しない。恒常的な欲求不満。対等な関係の中で宙吊りになった緊張が臨界へ向かう。研ぎ澄まされた感覚と身体を滴る汗。その刹那に、(不)純粋な関係性にエクスタ
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魔界都市<新宿>(1988年製作の映画)

3.1

映画観たって感じだった。好みではないけど、レイアウトが良かったと思う。

HOW TO BLOW UP(2022年製作の映画)

3.8

回想パートと実行パートのミルフィーユに終始してるのはちょっと律儀すぎるけど、テロリストたちの一連の行動を俯瞰的・批判的な切り口で見せていて良かった。まあちょっと律儀すぎるけど。ともすればかなり危ない題>>続きを読む

冬の旅(1985年製作の映画)

4.3

『動物化するアウトロー』

 本当に秩序の外側に出て行くと人は動物化するのだと思う。彼女の図太さ。食いたいときに食い、酔いたいときに酔い、座りたい場所に座り、寝たい場所で寝る。シたい相手とするし、笑い
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劇場総集編ぼっち・ざ・ろっく! Re:(2024年製作の映画)

3.8

『アダプテーション』

 夢を見た気がする。ご都合主義が連続し、キャラがクサい台詞を吐き、さしたる対立も生じない。それに感動する。した。フィクションの可能性はもしかすると、そういうところにあり、これは
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ザ・ロイヤル・テネンバウムズ(2001年製作の映画)

4.3

サラリとした、しかし汚濁のような苦しみの中にいくつかの煌めきがあり、血縁・非血縁を越えたひとつの家(HOME)の記録がドライに、そしてエモーショナルに語られていく。破滅によって和解が為される。これはそ>>続きを読む

車夫遊侠伝 喧嘩辰(1964年製作の映画)

4.6

ヤバすぎる。完璧な撮影と、その編集の連続。左右・縦横を隅々まで掌握した配置・動きの連続。右から左、奥から手前の運動。人物を二段(あるいは三段)構えした引きの画から堂々とした寄りの画への、出鱈目な接続。>>続きを読む

牛泥棒(1943年製作の映画)

3.8

なんか言えることいくらでもあるだろうけど、教育に良いです、と軽く言いたい。教育に良いです。

名探偵コナン 100万ドルの五稜星(みちしるべ)(2024年製作の映画)

3.2

五稜星(みちしるべ)とか読んでしまう副題からしてあけすけであるが、アバンタイトルはその何倍もあけすけである。様々な観光地でドタバタしつつ微妙にカタストロフが緩いのは政治的事情か、はたまた技術的拙さか。>>続きを読む