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マッドマックス 怒りのデス・ロードのefnのレビュー・感想・評価

4.0
 ミラー&シクセルの編集が際立っている。単に切るのではなく車の加速に合わせて早く回し、人が振り落とされる時は遅延させる。中割に人の視線を挿入はするが着地の瞬間はきっちりワンフレーム。決定的瞬間を逃さない。
 緩急が特に効いているのは故障した補助タンクを修理するシークエンスで、この際は牽引側にいたカメラがトラッキング&ロングで後方に寄っていくのだけれど、その長めの編集に対してタンク周りのテイクは細かく切られアングルも様々。(被写体を捉える角度は適切で決して乱雑ではない)数秒だがその前後のコンマ単位で切られたようなショットよりは十分に長く、その相対的な時間の操作が効果を上げている。
 マックスとニュークスをつなぐカテーテルの横移動にも同じような編集が施されていて印象に残った。
 構図取りもそれなりで夜の砂漠の稜線が美しい。二重に線をとっているからおそらくアラビアのロレンスの引用なのだろう。
 編集も構図も基本を抑えた上で観客の視線をどう誘導するか考えに考え抜かれている。テンポが良いとか素早いとか簡単な言葉で片付けられがちだけど、並大抵のことではない。駅馬車を越えようとする意欲を感じられる映画だった。
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