このレビューはネタバレを含みます
脱/構造主義として言いたいことはまぁいろいろとあるだろうけれど、喪われかけていた邦画の技巧(岡本、実相寺)や性癖(成田)を凝縮し観せてくれただけでも良しとすべきではないだろうか。単に記号を組み合わせ>>続きを読む
シームレスなフラッシュバックの妙よ。封印した殺意が蘇るとき、悶絶する男のカットを跨ぐように布を引き裂く音が、テレビから漏れ出たパレードの喧騒が決定的瞬間を呼び起こす。場所を変えれば過去だってわかるだ>>続きを読む
豪雨をかき出すワイパーの間からヌッと現れるルトガーバウアーから画としてはキマってる。ブレードランナーもそうだけど、雨に愛されている俳優だよね。他にも砂埃のなかからシルエットで現れるショットや明滅する>>続きを読む
ハリウッドのサイコサスペンスを性癖凝縮したような映画。特に口を塞ぐ/身体を拘束する画が印象的で犠牲者はいずれも粘着テープでぐるぐる巻きにされたり時限式の首輪を嵌められて爆発を待つ羽目になる。この辺の>>続きを読む
ピーターローレの目がすごい。五十人は下らないであろう群衆の視線とぶつかってもまったく負けていない。暗殺者の家の半眼も良かったし、この人は目線を送るだけで人の心に残る映画的な才を持っている。
冒頭の>>続きを読む
フィルムノワールに喧嘩を売ったような作風だった。ゴッサムを覆うノワール風の影、新古典主義風のビル群、そこにアクセントを刺すかのように動き回る「白」のジョーカー、緑色の絵の具で落書きされるレンブラント>>続きを読む
ナイフ&斧で関節をブチブチ切っていくライアン二等兵並の殺戮描写といいレイプの尺といい、どう観ても80超えた爺さんの映画ではない。トニーが亡くなってから少し大人しくなった印象があったけど、ここにきて悪>>続きを読む
割れる卵と水没する携帯、狂言とゴルフクラブ、この辺は薄気味悪くていいんだけど、ショットが単なるショットのまま流れていくから乗り切れなかった。視線を遮るとか映画を切り裂くようなことをするなら、撃つ/撃>>続きを読む
同棲の準備する女の子と逮捕される男、独房と間男のデート、こういうものをクロスカットで編集しつつ露悪になるギリギリのラインで止めるあたりルネクレールすごいってなる。ツルツルの氷の上を滑っているみたい。>>続きを読む
工場の追いかけっこいいな。白一色の女工がバーっと寄ってくるやつとかヒッチコックらしくないけどきれい。教会の鐘の音にかき消される会話と暗殺と犬の並行編集は彼らしかった。
海外特派員より前の監督作品で>>続きを読む
珍しくヒッチコックの俳優演出が控えめで良かった。歯医者で口の中を弄くり回せながらの暗殺者との遭遇、聖歌が止んでからの二度目の対面、ピーター・ローレのキャラクターがここぞって感じで現れるのが良い。そも>>続きを読む
リュミエールの構図への執着に対して最初の並行編集が意味を重視するあまり全体のバランスを欠いてるのは面白いな。最初の二極化だったりするんだろうか。
水やりの記録作業が背景であるはずのホースが絞られることで中断する、この遠近の運動の不一致、物語性。小道具が水ってのもポイントが高い。舞台で水を撒き散らすわけにはいかんもんね。
フィルム(物語)には終わりがあるという自覚がないと閉じはじめた門を撮るなんて発想は生まれないわけで、そういう意味ではまごうことなき映画。最初の犬映画であり自転車映画でもある。
最初の題材が列車で、しかも放射線構図を採用しているのは映画の運命だったんだろう。観客が叫んだどうのの真偽はさておき、最初のスペクタクルなのは確か。
列車と馬を題材に選んだのが偉いよね。あとは走るとか逃げるとか動機を設定するだけで自然と消失点も決まる。
彼女とのすれ違いや運転中の求婚が中断される前半とそれを推進剤のごとく燃やして走り尽くす後半の妙。
花嫁が波のように押し寄せ警官を蹴散らしキートンを追う様は最早ディザスタームービー。キートンの走る姿>>続きを読む
商業作品としての最適解。MI6、殺しのライセンスを持つ男が望む幸せがこうも平凡なのはいささか残念だが、ジャンルを越えるためには仕方がないのかもしれない。これも時代か。
義眼越しにブロフェルドと対面>>続きを読む
いつ観てもどの映画でもキートンが人間に見えない。空転している機関車から飛び降りて乗り直し、飛び降りてポイントを切り替えて乗り直し...その間、何秒の早業。ジャンプカットもショットも切らない、正真正銘>>続きを読む
スカイフォールの次に同じサムメンデスが撮ってどうしてこうなるのか、などと思ってしまう。
スペクターという単語が会話に度々登場し意味深な雰囲気を出した、かと思えば唐突にショットは切れてボンドに切り替>>続きを読む
悲喜劇な脚本、微妙に攻めた映像構築、ジョングレンとは別な方向でバランスが取れた傑作。シリーズをシリアスからコメディに移すにはこういう人が不可欠だけど、何故こうも007は恵まれているんだろう。
ボン>>続きを読む
雪の中でヴェスパーを忘れて007になりきる、このボンドならざる詩情。(この前のシーンが砂漠の黄色で雪の白に対応しているの中々)カジノ・ロワイヤルのトラウマを克服しつつ娯楽に回帰する、という橋渡しを十>>続きを読む
脚本と編集はいい。切り返す時の微妙な間に差し込むヴェスパーの表情とか。玉打ち拷問もいい。
ただ画が面白くない。目線以外にも考えるべきことがあるだろ。手札は見せないしマスターショットは疎かだしコンテ>>続きを読む
密告の嫌疑がかけられるところまでは良かったけど画面がだめすぎる。レーザー拷問機とか崩落するガラスの床とかドームからの降下とか美味しい状況はたくさんあるのに一つも活かせていない。カーチェイスでさえ退屈>>続きを読む
ボンドくらいになると「落ちる」場所を自分で設定できるからすごいよね。ベランダから飛び降りたかと思えば、その勢いをティルトに任せてMI6本部へ、Qの研究室からはさらにテムズ川へと下降。山に行けばスノー>>続きを読む
バランスのとれた娯楽系ボンド。秘密兵器や道具が多様なのはもちろん、編集に気配りが効いている。ロシア国境でテロリストを翻弄するボンドとそれを監視するMI6、国境へと忍び寄るステルス艦と内で暴れまわるボ>>続きを読む
九十年代の悪癖が詰まった一作。カジノでゲームをしても手元が見えない、ヘリにピントはあってない、全体的に目線を強調しすぎて画として何をやりたいのかわからない。カット割を激しくしてクローズ、ソフトフォー>>続きを読む
シリーズ初の私怨で動くボンド。盟友フェリックスの復讐を誓い、殺しのライセンスを失ってもなお身体を張る姿には今までにない緊張感がある。応援に駆けつけるQやカジノでのカードを使った駆け引き、大邸宅の謎の>>続きを読む
紐を使った仕掛けがいい。命綱を切って崖から落とす、靴紐を解いて飛行機から滑り落とす、イヤホンのコードで首を締める、こういう生理に働きかけるアクションをアクセントにするのは流石ジョングレン。
ただ何>>続きを読む
このいいお天氣に
建師ヶ原に 雨が降る
血の雨が降る!
からのトラッキングではじまるのでギャグなのかと思ったら、最後の最後で「負け戦を覚悟して立ち止まった仲間たち」として回収されたから泣いた。>>続きを読む
美味しい題材はいっぱいあるのにみんな語りで済ませちゃう。編集も一作目ほどではない。
いやでも三作通しで見ても2時間を超えるとは感じなかったな。筋がいいんだろうか。
大友柳太朗のシスコンが過ぎる。そして逃げるからって吊橋から突き落とすな。
カットバックを極めると映画は単なる説明に落ちるってのはわかるけど、ここまでバラエティになるとすごい。切り返しで画角を変えるとその人のセンスが出るよね。マスターショットが嫌味にならないのも良い。
話>>続きを読む
捕らえたKGBのスパイを排水口に突き落としてスクリューでズタズタにする(速度メーターが巻き込んだ異物に合わせてビクッとなるのがいい)とか、坑道でずぶ濡れになっている坑夫をUGで撃ちまくるといったシチ>>続きを読む
娯楽系ボンドの最高端。バックギャモンに負ければトゥクトゥクでの(観光を兼ねた)チェイスがはじまり、要塞に囚われたかと思えば像に乗った悪党が人間狩りをはじめる。
そんな悪党の本命は核攻撃。それもサー>>続きを読む
ムーンレイカーからのこれ、ジョングレンのバランス感覚のすごさ。
殺すときはしっかり殺し、遊ぶときは遊ぶ。雑魚がプールに飛び込んだかと思えば一息ついて死体となって浮き上がり、ボンドガールは車と正面衝>>続きを読む