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パイレーツ・オブ・カリビアン 最後の海賊のmのレビュー・感想・評価

3.9
ゴア・ヴァービンスキー監督の活劇への変態じみた執念が炸裂した1〜3作目、もう何も覚えていない4作目を経てのシリーズ第5弾。

特筆すべきはヒロイン(というか実質主人公)・カリーナの人物造形。優秀な天文学者だが、この時代では女性が差別され学問を禁じられている為に『魔女』扱いされている、という設定が良い。前3部作のヒロインの流れを汲んだ現代的な強い女性像になっている。
自分で牢屋から脱走するガッツのある人物である事が登場シーンから見事に表現されていた。処刑されそうになる場面での演説とジャックとのやり取りも良い。演じるカヤ・スコデラーリオの強い眼差しを活かした撮影も効果的だった。
ただ、彼女の血縁関係の件は無くても良かったのでは。

もう1人の主人公であるヘンリーも、『父親の呪いを解きたい』というエモーショナルな動機がある為、ちゃんと物語の軸になっている。演じるブレントン・スウェイツもカヤ・スコデラーリオと共にチャーミングで、今回の新主人公コンビは新鮮さも個性もあり良かった。

ジャックらいつもの面々も相変わらず魅力的。
悪役のハビエル・バルデムもいつものようにすこぶる愉しそうに怪演していて、観ているこちらも楽しくなってくる。

アクションシーンはゴア監督程のレベルには達しなかったが、回転するギロチンカッターのアイデアはお見事。


今回監督に抜擢されたのは、海洋映画の秀作「コン・ティキ」の監督コンビ。そつなくまとめつつ、彼らなりのロマンとドラマを作品中のそこかしこに刻んでいる。


ただ、結婚式のシーンだけは作り手の良識を疑った。
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