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思い出のマーニーのnanatenのネタバレレビュー・内容・結末

思い出のマーニー(2014年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

2023年1月13日、金曜ロードショーで多分…3度目かな?改めて視聴。エンディングは自分でタイミングを合わせて聞きました笑、ah ah ah〜まで聞かないとマーニーは終われないの…

「大好き」と伝え合うマーニーとのお別れのシーン、久子さんから語られるマーニーの人生、杏奈の「そうだったんだ…」
この3点でボロボロ泣いちゃった。「そうだったんだ…」は特に印象的で、初見当時もここで大泣きしたことを覚えてる。
人が人を想う強さに涙が出るんだよね。
杏奈がマーニーに会えたのは、マーニーの、
・唯一の血を分かつものに、自分という存在があったことを忘れないでほしかったこと
・そしてその寂しい人生を「許してくれると言って」ほしかったこと
・一度は潰えた晩年の「この子には寂しい思いはさせない」という決意
が残っていたからじゃないかなと思う。
キャラクターデザインも、画の切り取り方も本当に美しい。背景の色彩が好き。後半への畳み掛けるような伏線回収が、変わってしまっていくお屋敷と相まって心に刺さる。

以下、今回の視聴で改めて印象が変わったり、より深く残ったこと

・杏奈と絵美里の苦しみ
杏奈ちゃんも絵美里さんも、自分が16そこらのときは反抗的だな…グレてしまったのかな…と見てしまっていたけど、今は彼女達の苦しみがすごく伝わってきた。
傍から見ればおばさんの愛は本物。だけど、最初から寂しい時代が長かった杏奈ちゃんが1人で書類を見つけたときの孤独といったら。お金のことは意識するけど、まだ上から俯瞰できるほどはよく分からないこの歳だからこそ、つらい。
中高一貫校から帰ってきた時の絵美里さんは、杏奈ちゃんと同じ年頃で、同じように複雑な苦しみがあったことがわかる。バイクで去っていく姿の後に交通事故があるので、勝手に不良になってしまい無茶な運転をして…と記憶していたんだけど、そうではなかった。彼女もまたマーニーの愛が届かなかった、可哀想な子だし、親からの愛を受けていないマーニーに至らないところもあったかもしれない。だけど杏奈を授かって、一時の幸せがあったのかもしれないと思う…。

映画のはじまりの杏奈は、マーニー、絵美里に続いて、また「寂しさ」を抱えててしまっている女の子に育っているんだけど、「この子には絶対に寂しい思いをさせない」というマーニーの決意は、生前は至らずとも劇中の形で叶えられたのかなと思うんだ…。そして、おばさん達の愛を受けて、まっすぐ育ってほしい。マーニーが羨ましがった、恵まれた女の子でいてほしい。

・信子ちゃん
彼女は確かにお節介で杏奈ちゃんにとっては距離の詰め方が急だけど、気を遣えるとてもいい子だと思う。大人。
だからこそ、嫌なやつじゃないからこそ、杏奈ちゃんへの言葉が「正論」として刺さるのだと思う。
お母さんの話に「カッターをチラつかせて…」という尾ひれが着いているのは鉛筆削りのことだと思うんだよなぁ。信子ちゃんの性格的にお母さんの言った通りにチクったとは思えない。田舎の噂の速度。

・ばあや
初見時はパーティのシーンで「閉じ込められて可哀想」くらいに思っていたけど、今思うとこの時点で分かることがあって、なぜかマーニーの部屋は外鍵で、鍵を持ってるのもばあやなんだね。閉じ込めるという発想がすぐ出てくるの自体、マーニーが罰として閉じ込められるのは日常なのだなと思えた。

・和彦
マーニーが杏奈を和彦と呼び違えるシーンのショックは大きい。百合を寝とる男…!和彦の場所で追体験をしていたのだということは後でわかり、花売りの子などと違ってマーニーの人生でとても大切な人だったから杏奈で上書きしきれなかったのかなぁと思っていた。
でも今回、杏奈にとって和彦は祖父に当たるので、どこか似ているのもあるのかもしれないと思った。

・彩香ちゃん
お兄さん共々本当にとてもいい子だなぁとより印象を深めた。マーニーとはお別れしたけど、おかげで彼女と出逢えた。

・大岩夫妻
こんなにいい人達だったっけ…ありがとう…
過去につらさを抱えた杏奈だけど、たくさんの愛を受けていてよかった。
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