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思い出のマーニーのEのネタバレレビュー・内容・結末

思い出のマーニー(2014年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

身体が弱く、両親がいない劣等感から周りと壁をつくる杏奈は「私は周りより大人」と、小さい自尊心で自分を守ります。「太っちょ豚」に少し突かれただけで崩れちゃうほど脆い自尊心。それはマーニーに出会うことで見事に溶解してしまって、杏奈は傷つきながらも、自分の存在を自分自身で探そうと努力しますね。

激しい嵐の中、杏奈は自分の成長を後押ししてくれた虚構のマーニーに別れを告げました。現実を認め、それでも自分の殻に閉じこもるのを辞めることができた杏奈を思うと良いシーンです。

ジブリ的でアニメ的な迫力ある演出や、「アナ雪」のように数分のミュージカルで観客を引き込むシーンは無くて、確かに物足りなさを感じる作品かもしれません。

夢とうつつの境界線を曖昧にして観客が感じる「浮遊感」は映画として高度だし、「鬱屈とした思春期を超えてしばらくして、当時のほろ苦い記憶を懐かしめるような」大学生以上にしか刺さらない内容であるのに、ミステリー要素を丁寧に解説して回収して、子供でも楽しめるジブリ作品にしてしまったりと、「作風」と「見せ方」にミスマッチを感じます。

それでも観るに値するほど、ひとりの少女のひと夏の、大きな成長を鮮やかに描いた作品でした。

それに作中の食事の数々は、過去のジブリ作品の中で一番美味しそうだったな〜
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