フィッシュマン

思い出のマーニーのフィッシュマンのレビュー・感想・評価

思い出のマーニー(2014年製作の映画)
4.6
スタジオジブリで1番好きな作品。
ってか完全に舐めてたわ。金曜ロードショーで全編観て、「なぜ私はこれを劇場公開時に観なかったのか!」と一生後悔するであろう素晴らしい作品。なんと真摯で誠実な成長譚だろう。全編にまみれた優しさと愛。
オープニングから美しい描写が続くが、物語にぐっと惹き込まれたのは杏奈に太っちょ豚と呼ばれた悲運の信子の振る舞いである。並の監督なら彼女をただの嫌な奴に描いてしまう。しかしこの作品においては信子の「おせっかいで気が強いけれど、開けっぴろげで優しい」性格が数秒の間に驚異的なまでに見事に表現されている。太っちょ豚呼ばわりされたにも関わらずさっさと言い返して「はい、これで終わりにしましょ」と言ってのける心の広さ!なんて魅力的なキャラクターだろう。
確かに説明過多な部分も多い。とりわけラストの杏奈とマーニーの関係の種明かしは2段階にせずとも観客の多くは分かっていたはず。しかしそれを差し引いても素晴らしい作品である。