フィッシュマン

雨を告げる漂流団地のフィッシュマンのレビュー・感想・評価

雨を告げる漂流団地(2022年製作の映画)
3.5
前半のワクワク感、
後半の間延び感、
に尽きる。

思い切った省略表現がところどころに効いていて「こういうのが観たいんだよ」と思わさせてくれるのだけれど、後半になると暗い展開が延々と、本当に延々と繰り広げられさすがに「くどいなあ」と食傷気味に。前半のテンポの良さはどこへ行った?90分くらいでちょうど良かった気がする。

物語世界にはどんなルールが存在していても良いと思うのだけれど、この作品においてはそれがかなり説明不足な感じをうけた。伝えたいことはうっすらと伝わってくるけれど、本当に薄味。「この料理にはこんなに素晴らしい素材を使っております!」と言われても、完成品がこのぐらい薄味だと「へぇ、それはすごいですねぇ……」くらいの感想しか浮かんでこない。作品の中のルールはもう少し丁寧に味付けしてほしい。端的に言えばタイトルで説明されてること(雨が降って団地が漂流する)がそのまま全編に渡って繰り広げられるだけ。説明過多もつまらないが、説明不足だって同様につまらない。「これがああなって、そうか、だからこうなるのか」と腹に落ちる感覚は正直言って皆無。モヤモヤする観客は多いと思う。