B姐さん

(秘)色情めす市場のB姐さんのネタバレレビュー・内容・結末

(秘)色情めす市場(1974年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

「これが本館での最終上映となります。この傑作映画で、幕を降ろすことをうれしく思います」という趣旨の、映画館の方の生アナウンスの後で、本編のスタート。

ストーリーとかテーマとかが、たまにどうでもよくなる困った映画があるが、これもその一本。とにかく、しゃらくさいんだよ、テーマとかなんか、という風に。

もはやここまで行くと「ロマンポルノ」というよりATGか?と思う程だが、「アート映画」、「ヌーベルヴァーグ」とか言うと平板になってしまって、もったいない。なにしろ映画の中の有機体を感じるぐらいの熱量だからだ。
大阪西成ーあいりん地区のドヤ街に住む娼婦。大阪カースト最底辺、色々つらいことあるけれど、どっこいオイラは生きている。おい、文句あるか。以上。おしまい。
ドラマらしいドラマはなく、だからドラマチックなことは全く起こらない。だが、渦巻くエモーションはピリピリ感じる。猥雑な街の雰囲気(素晴らしい)と人々の匂いに引きずりこまれた者たちだけ、この映画を共有できる。
パート・カラーの部分が有名だが、ロケーション撮影(安藤庄平)がすごく、昔の西成もそうだが、一歩間違えば、事故(事件?)みたいなショットもあって、そこらのアクション映画より吃驚した。

壊館前の新橋文化で最後に、小屋との幸福な融合(電車が真上で走る時の4D感!)のような映画を、しかも最終上映で観て、非常に感傷的になった。そして感無量。

@新橋ロマン劇場(8/31/2014)
※満員、立ち見の成人映画劇場は初めてなり。
※「文化劇場」は『タクシードライバー』(併映『デスプルーフ』)が最終上映。あっちは1976年のニューヨークを堪能したと推察。終映後もたくさんの人が劇場前で、なごり惜しそうにたむろしていた。
B姐さん

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