B姐さん

ポール・ヴァーホーヴェン トリックのB姐さんのレビュー・感想・評価

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「私は二度同じことはしたくないし、新しい領域に踏み込むことはいいことで、未知の世界に飛び込むことで創造性が生まれる」

「この冒険的な試みで自分の創造性を刺激し、新しい手法や視点を身につけたい」

最初の35分ぐらいが映画の企画意図(新プロジェクト)みたいな説明が、プリプロ、撮影の舞台裏を含む製作のプロセスと共にヴァーホーヴェン自身から語られ、それからやっと本編(約50分)といった変則的なもの。たぶん【本編50分、特典映像35分】だったら商品の印象ががらりと変わるからだろう。
そうとは知らず観たもんだから、「あれ?特典映像?」みたいなかんじになり、なんどかメニューを確かめるハメに。
その例の企画とやらのことはイチイチ書かないが、その「実験的」な企画によって製作された映画からは今までのヴァーホーヴェン節はほとんど見られず、、、、良くも悪くもまとまった小品という感じ。しかしこーいった企画って大体が破綻しているものか、こじんまりまとまるものに着地すると思う。

まあこーいった思いつきみたいなものは監督自身の「内部」のケミストリー、具体的に言えば、既存の映画プロセス以外の“新しい”刺激だけのような気がする。ヴァーホーヴェン自身も「この冒険的な試みで自分の創造性を刺激し、新しい手法や視点を身につけたい」と言っていたし。だからこの映画はヴァーホーヴェンによるヴァーホーヴェンのための映画。
残念なのは、その「刺激」は観客に与えられるものではなく、監督「だけ」というのが寂しいところだ。
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