Manabu

トパーズのManabuのネタバレレビュー・内容・結末

トパーズ(1991年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

テーマ曲のキューバ音楽(おそらくかなりのレアグルーヴだ。近日中にdigってみよう)の身体の奥底から、たぎってくるビートが、観ている間ずっと、動脈を波打ち、自分のからだを流れる血が沸騰点に達するギリギリの所を行ったり、来たりする間に、映画はいつの間にか終焉を迎えていました。

坂本龍一によるベルディとピアノ曲(陰)、そして、うねりのあるキューバのリズム(陽)の対比が、映画全体に効いていて、映画の静と動、構成のバランスをとっていた様に感じられ、とても印象深かったです。

5分後の世界、コインロッカー、その他周辺を読み漁り、いつか大人になったら真紅のジープにDATURAとペイントして、湾岸線あたりを疾走する事を夢みていた10代後半くらいの頃の、ギラギラ感と、どこにも消化できない憤り、などなど、この映画をみていて、思い出しました。
この時代の龍は、かなり突き抜けていると思っていました。腹の奥底の、そのまた底の方から湧き上がってくる、ドス黒く芯のある強い力を感じられて、本当に自分にはかっこ良く思えていました。

その時代に、こんなとんでもない映画を撮っていたんだ。

R18ですが、18歳以下の方に特にお勧めしたいです。

欲望と金。歪みと退廃。

TOKYO DECADENCE TOPAZ

龍が挑んだデカダン。

今回、35mmニュープリントということでした。
そのフィルムは、今日、自分の網膜の奥に、強く焼き付いて、脳内の映写機をグルグル周り続けました。そして再び、自分の淀んだ眼球から、か細いですが、真っ直ぐな光として放たれて行きました。その、ぼんやりとした、光が捉えたのは、帰り道の夜空、靖国通りから見上げた西新宿の高層ビル群の中から、ひょっこり顔をだした灰色の東京都庁舎でした。

自分にとっては、実態がない影のようなそれは、バブル時代が残していった、無口で、ただただ巨大であるだけの何かのモニュメントに思えました。

自分も今後、もし、何か落ち込む様な事があったら、この映画に登場する、艶かしく狂おしい「恋のバカンス」が歌われるあのシーンを思い出してみよう。

二階堂ミホさんと、サキ女王さんが、非常に素敵でした。

上映前に、この映画のプロデューサーさんによる撮影小話があり、とても良かった。

〈2014.02.16.新宿.k`sシネマ〉
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