マリオン

ナイト ミュージアム エジプト王の秘密のマリオンのレビュー・感想・評価

3.0
夜になると不思議な石版によって動き出す展示物達に振り回される博物館の警備員を描いたナイト・ミュージアムシリーズ第3作目。若干だが物足りなさや雑さを感じる部分もあるがこのシリーズの強みであるアドベンチャーとキャラの掛け合いは今回も健在で楽しいし何より最終章としての有終の美をきちんと飾れていると感じた。

今回は警備員ラリーと息子、ニューヨーク自然史博物館の展示物達は石版の魔法が消えかけている原因を探るためにアクメンラーの父と母がいるイギリスの大英博物館へと向かう。
今回いつもと違うなと感じさせるのがかなりアクティブなアクションシーンが多いところだろうか。これはランスロットというアーサー王物語に登場する円卓の騎士を登場させたことが大きいだろう。トリケラトプスが暴走して尻尾を避けながら逃げまとうラリーたちを尻目に勇猛果敢に戦うランスロットはかなりかっこいい。そしてソウリュウとのバトルではめまぐるしく動く蛇の頭や結び目にして動きを封じるなどの趣向を凝らしたバトルを見ることができる。もちろんキャラクター達の愉快な掛け合いも楽しい。特にランスロットやラリーにそっくりの原始人ラー、大英博物館の女警備員の新キャラクター達は愉快で楽しい。

そんな今回の冒険の主軸となるのは親が子供の成長と旅立ちを見守るということだ。ラリーの息子は反抗期に突入し将来のことで対立していく。そんな中冒険を繰り広げていくうちに子供の成長を間近で目撃していく。はたして親は子供の人生の岐路に対して何をしてあげられるのかにも注目だ。そして旅立ちといえばやはり、ロビン・ウィリアムズとミッキー・ルーニーの最期の勇士を見ることができる。明るく楽しいアドベンチャーなのだが彼らのセリフはいちいち重みを感じてしまう。特にロビン・ウイリアムズの優しいまなざしをもう見ることができないと考えると悲しい。そんな彼らの死を予期していたかのように物語もフィナーレを感じさせる。

あと今回もスコアはアラン・シルヴェストリなのだが、冒頭のエジプトのシーンがモロに同じくアラン・シルヴェストリが担当していた「ハムナプトラ2 黄金のピラミッド」のメインテーマっぽいメロディが流れてテンションあがったし、あるカメオ出演の人のシーンではきちんと「あの映画」のメインテーマのメロディがしっかり流れるのもスコア好きにはたまらない。ヒントはジョン・オットマンのスコアだ。

だがシリーズの中で一番こじんまりとした印象を受ける。一つ一つのエピソードがぶつ切りに見えるような展開や編集で冒険や主軸へのカタルシスが食い足りない。また敵っぽい位置になるあるキャラクターに関してはよく意図が分からない。まだ大英博物館らしい展示物もあまり感じなかった。

役者陣も豪華で愉快だ。今シリーズから初登場してメンバーに限定して書くと、大英博物館の警備員役のレベル・ウィルソンの愉快でチャーミングなお腹とコメディエンヌぶりは楽しい。ランスロット役のダン・スティーヴンスのイケメンぶりとあられもない姿のギャップに爆笑だ。

物語的にもきちんとフィナーレを飾り、役者陣の死もあって本当に最終作になってしまったがまたこんな楽しい映画が見たいなと思う。魔法はまだ終わらない。
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