緩やかさ

未来を花束にしての緩やかさのレビュー・感想・評価

未来を花束にして(2015年製作の映画)
3.0
本作の主人公モード・ワッツは洗濯工場に長年勤務している。
7歳でパート
12歳で社員
17歳で班長
20歳で職場主任
いま24歳、夫と息子と暮らしている。
彼女たちは洗濯女と呼ばれ、その過酷な労働環境から短命な傾向があるそうだ。

終始、陰鬱なトーンで描かれ、劇的な展開もほぼ無い。
それでも製作者はこの映画を強い意志で作りきったのだろう。
スピルバーグ監督の「リンカーン」に近いものを感じた。

本作では主人公たちが女性参政権を勝ち取るところまでは描かれない。
その過程を描き、イギリスで女性参政権が認めらるのは映画の結末から数年後のこと。
イギリスでさえ、わずか100年前まで女性の参政権は認められていなかった。
エンドロールでは各国の女性参政権の成立年が2015年まで例示される。
(日本は記載がないが1945年、今から77年前だ)

史実に基づいたエミリー・デイヴィソンの競馬場の出来事が衝撃だった。
なぜそんなことを?と思ってしまうが、時代は彼女たちサフラジェットに苛烈な活動をさせるほど困難な状況だったのが伝わった。

邦題には違和感しか感じない。
この映画を届けるべき観客に届ける道を塞いでいる。
今からでも遅くないので、邦題は「サフラジェット」に改題するべきだろう。
緩やかさ

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