きのこ

未来を花束にしてのきのこのレビュー・感想・評価

未来を花束にして(2015年製作の映画)
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まず公開当時から言われていたけど、この邦題はいい加減にしてほしい。
鑑賞後も「なぜこの邦題を思いついた?」という感想。
邦題や日本版ポスターからイメージされるようなまろやかさは決してない。
自由を求めるマイノリティの壮絶な闘いの物語だ。

さて、がっつりフェミニズムの思考に浸りたくてこの映画を再生した。
ある女性がサフラジェットに共鳴していくドラマ仕立てのストーリー。
自分の中の常識が社会的規範を内面化したものであることに気づき、知らぬ間に自身の両肩を押さえつけ他の道を閉ざしていたミソジニーの圧が見え始める。
自身を押し込め、モノ扱いし、操ろうとする人々・世間への怒り。
闘わずに居られない苦しさが「他に道があったかも」という証言に詰まっている。
こうした先人の後に我々が生きていることを、しっかりと意識しなければならないと改めて感じた。

実はもっとサフラジェットの活動に重点を置いて描かれているものだと思っていたのだが、1人の女性の人生を軸に、世間の空気感と圧力の壮絶さを体験的に描いている。

キャリーマリガンの演技がやはり素晴らしい。
細かな感情の揺れをしっかりと感じさせ、訴えかける演技には思わず胸が苦しくなる。
次第にたくましくなっていく姿の絶妙さも良い。
近年の出演作との関連性もあり、キャリアの変遷を感じる一作
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