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ANNIE/アニーのJIZEのレビュー・感想・評価

ANNIE/アニー(2014年製作の映画)
2.7
名曲「Tomorrow」を皮切りにミュージカル映画の現代的真髄を登場人物たちの活気漲る表情や家族or人間愛という背景を通じ全身で多幸感を感じ取れた。勿論,NYのロケーションや里親制度の本質的テーマ性,MV調のミュージカル演出,SNS(Twitterやブログ)を通じ問題提起を解消し善意的意義に繋ぐ着地等,随所に高揚感は宿り微笑ましくほぼ各描写は爽快に仕上げられてます。明日への応援歌!やハートフル物語!の現代版代表作と推せる変化球なしのハッピー映画ですね。アニーのハスキーボイスやスタックスの利己的で現実主義の人物対比もそこそこ抑揚を促す上で楽しめた要因です。

否定的な見解では,歌い出す場面が始まると同時にお話自体の推進力が失われ停止するミュージカル映画の必然性を削ぐ点。また,全編に渡り多用するMTV風のカメラワークも特別驚きがあるダンスを演出する訳でもない為,カタルシスの生じなさも単調風味な展開を通じ感じた点。また,アニーが口の中の物を吐き出す描写が不快。吐き出す描写に始まり吐き出したまま終わる円環着地の失敗は否めないと思う。あと,冒頭から大統領を本気で語りクラスメートを堂々と先導..NYを大行進するアニーには両親の必然性は微塵も感じず設定と物語の違和感も確か。富豪の養子になり財力を付けたアニーには未来に通づる恐怖すら覚えました。。最後は,クライマックスのしょぼさ..終盤,ある真相が公に明かされアニーを大捜索する場面でSNSを利用し居場所を突き止めパトカーとヘリが同時に並走しある人物を追い詰めますが港場面までのロケーションに繋ぐその通り一辺倒な印象。伏線回収の軽さが垣間見えます。

従い,ラジー賞受賞もあながち賛成!!アニー視点とスタックス視点を同時に序盤から走らせ人身事故に繋がり兼ねない2人の出会い場面は何気ない運命性を感じ取れ1番好きな描写。物語が進展する度に作品自体の物足りなさ(底の浅さ)は物凄く感じ同時に興味が削がれたのも確か。ハニガンの夢を諦め子供をいびるイジワル風味な叔母さん像も90年代に囚われる女という悪態的な里親感は滲み出てました。また,登場人物たちの被りがなくカラフルな服装もミュージカル調の奥行き深い演出と相関を得ていたと思います。結論的には,良くも悪くもハートフル映画の範疇を誠実に守り描き切り万人受けを促す普遍的という着地です。また,2015年にこの作品を再リメイクする必然性or理由は微塵も感じ取れませんでした。アニーから明日を生きる勇気と元気を純粋に自己投影させ感じ取ればそこそこ楽しめる事は間違いなし!!という軽い感じです。是非,お勧めです!!
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