鰹よろし

バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生の鰹よろしのレビュー・感想・評価

3.5
 前作「マン・オブ・スティール」(2013)における被害を受けての今作での問題提起は「シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ」(2016)よりも作品(シリーズ)としても時系列としても直結している分断然しっくり来る。

 地球を守るべく戦ったが故の破壊行為。これを前作における当事者側ではなく被害者目線で捉えさせることで、人類を守るためだった戦いが、スーパーマンというヒーローを生んだ戦いが、9・11を想起させるテロ行為に様変わりする。

 大切な人間を守ることのできないバットマンの無力さを突きつけてから、ロイス・レーンを助けにどこからともなく駆け付けるスーパーマンを観せつける。どこにいようが助けに行ける。何より助ける・守れる力があるのだと。そんな力を前にしたスーパーマン自身の葛藤は今作にもあるが、それよりもその力の恩恵を受ける人類のあり方が今作の肝だろう。

 対人においては無双するも超人たちを前に為す術の無いバットマンに笑ってしまうこともあるかもしれない。ただそれありきで描かれる本来の人間の無力さ。ここを焦点にスーパーマンという存在を論議する様はおもしろい。
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