Uえい

アッテンバーグのUえいのレビュー・感想・評価

アッテンバーグ(2010年製作の映画)
3.5
グリーク・ウィアード・ウェーブを代表する映画で気になっていた。ツァンガリ監督は自分でスタジオを立ち上げていて、ランティモスの「籠の中の乙女」や「アルプス」を製作している。逆に本作はランティモスが製作、そして出演している。しかも濃厚なキス、セックスシーンがあり、同様に製作に関わりながら出演したエマ・ストーンの怪演を思い出す。

ギリシャの海辺の町が舞台で、工業地帯の荒涼とした感じと、自然はあるけど禿山ばかりで寒々しい。主人公マリーナは父と暮らしていた。マリーナは性欲が無いことを悩み、親友で遊び人のベラにキスの仕方などを教わっていた。このマリーナとベラは二人で奇妙なダンスをする。これが変なテンポ感を生んでいるし、夜の町を歌いながら歩くシーンは何故か心に残った。

マリーナの父は病気があり、入院し、とうとう死を悟る。マリーナは仕事で知り合った男とセックスをしようとするが上手くいかない。しかし、父の死が近づくにつれて男を受け入れることができるようになってゆく。

タイトル「アッテンバーグ」は作中に出てきたナショナルジオグラフィック的な動物のドキュメンタリー番組名の言い間違いで、マリーナはこの番組から動物らしさ、本能を学んでいくが上手くいかない。動物の形態模写が奇妙で印象的だ。そして、親友ベラが言い間違えるのだが、人間は動物とは違った方法で性別や本能を獲得しているのではという投げかけにも感じた。ヘンテコさと奥深さを兼ね備えた名作だ。
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