燕鷲

卍 まんじの燕鷲のレビュー・感想・評価

卍 まんじ(1964年製作の映画)
3.5
多種多様な変態性を肯定してみせた、日本が世界に誇る文豪、谷崎潤一郎。
老いてなお、濡れ場の撮影では車椅子から立ち上がって演出していたという新藤兼人。
日本映画伝統の慎ましさを嫌い、人間の欲望を赤裸々に描くことを好んだ増村保造。

原作、脚本、監督にこれだけ一流の変態(最大級の褒め言葉)が集まれば歪な映画に出来上がるのも当然だろう。

エロさとアホさは紙一重。第三者(我々)からは異常で狂気的に見える言動も、当事者たちにすればド真剣で純粋な愛の渇望。

愛憎の渦の中心で周囲の人間を翻弄する若尾文子の妖艶さは勿論だが、今作に関しては嫉妬と羨望で狂いに狂った岸田今日子の芝居が何よりも良い。
燕鷲

燕鷲