燕鷲

ユメノ銀河の燕鷲のレビュー・感想・評価

ユメノ銀河(1997年製作の映画)
3.5
幻想的なモノクロームの画面に浮かび上がる新高とトミ子の“顔面”が観る者を挑発し、轟音(バスと汽車、そして土砂降りの雨!)の中の沈黙、静けさで男と女の心情を雄弁に語る“音”の映画。

無表情を映すだけで絵になってしまう浅野忠信は持ち味を存分に発揮しているし、疑惑と恋慕の狭間で揺れ動くオンナをクドいほどの上目遣いで演じた小嶺麗奈もまずまずの奮闘と言っていいが、何よりも印象に残るのは真野きりなである。あの妙な存在感は凄い。

取って付けた感の否めないオチは兎も角、夢野久作の原作が持つ雰囲気をバッチリ再現させた石井聰亙と笠松則通に天晴れ。お手軽に自宅で鑑賞するのではなく、巨大な銀幕と圧倒的音圧の劇場で観るべき1本。
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