ノットステア

カーゴのノットステアのレビュー・感想・評価

カーゴ(2013年製作の映画)
5.0
○感想
今まで観た短編映画で1番満足した。

ゾンビ映画を観るのは初。今村昌弘さんの『屍人荘の殺人』という小説を読んだことはある。
あ、『カメラを止めるな!』ってゾンビ映画???

短編のゾンビ映画ってちゃんと怖くなるのかな?とか思いながら『カーゴ』を観ることにしたんだけど、予想と全然違った。ゾンビ映画とはこういうものだ、という固定観念があるからか、まったく思いつきもしないストーリーだった。

見ただけでゾンビとわかる。そのうちゾンビ化するだろうということもわかる。たぶん世の中の多くがわかる。人は何歳くらいからゾンビとはこういうものだっていう共通認識を身につけるのだろう。
共通認識があるからこそセリフ無し説明なしでもわかる。しかも7分で物語が成立している。なんならもっと短くできそうな気もするけど。でも余白も大事だからね。

『ジョジョの奇妙な冒険』の荒木飛呂彦さんによると、「ゾンビの本質とは全員が平等で、群れて、しかも自由であること」だという。「そのことによってゾンビ映画は『癒される』ホラー映画になりうる」(p.61)らしい。
その評価基準でいくと『カーゴ』は良いゾンビ映画とはいえない。
荒木飛呂彦(2011)『荒木飛呂彦の奇妙なホラー映画論』集英社新書
※この本に『カーゴ』のレビューはありません。ゾンビ映画についていくつか語っている章があります。

以下、あらすじ












○あらすじ
車の中。眠っていると隣に座る女性がゾンビ化している。
男性は車から降りる。自分も傷を負っている。
後部座席から赤ん坊を出し、抱く。赤ん坊は無傷。助かるかもしれない。

男性は赤ん坊を背負う。
赤ん坊が泣く。風船で泣き止ませる。
赤ん坊にはおしゃぶり。
男性は自分の手を縛る。
男性は自分の目の前に死んだ肉をぶら下げる。
男性はいつの間にかゾンビになっているが、目の前の肉を取ろうと前を進み続ける。

男性は射殺される。男二人、女一人が確認しに来る。男二人が立ち去ろうとする。赤ん坊が泣く。女は気づく。赤ん坊を抱く。赤ん坊のお腹にマジックでメモが残されているのに気づく。赤ん坊の名前を知る。