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ゴーン・ガールのnaorinのネタバレレビュー・内容・結末

ゴーン・ガール(2014年製作の映画)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

エイミーは産まれながらの
サイコパスというより
ソシオパスってやつかな。
両親からは常に完璧を求められ
絵本の中の“架空の自分”と比べられる、
そんな環境が彼女を造った。
物心ついた頃から息をするかの如く
周囲の求める役割を演じ続けてきた
彼女にとって、
いい夫という役割を早々に放棄した
ニックは許せない。お仕置きが必要ね。
エイミー目線の回想はほぼ
でっちあげ日記に基づく
フィクションだけど、
悪魔の証明(やったことより
やってないことを証明するのは難しい)
をうまく利用してる。

そして一度は見限ったダメ夫だが
手札も少なくなってきた中
テレビでもう一度、彼女にとって
完璧ないい夫を演じる姿を見て
あいつもやればできるじゃん!と
彼の元に戻ることにしたのだろう、
あのシーンのロザムンド・パイクの演技は
もうガンギマリって感じで圧倒的。
ロザムンドって個人的に
地味〜な印象だったのだけど
今作では生き生きしていて
いつもより数倍美しく見えた。
ベン・アフレックはヒーローより
地球滅亡を阻止しようと
命を賭ける男より、間抜けな
夫役がほんとハマってたわ。(褒めてる)
ベン自身私生活のゴタゴタで
叩かれたイメージ強いけど
結局その人のことはその人にしか、
夫婦のことは夫婦にしかわからない。
他所の問題に首を突っ込み
表面的な部分だけ見て
好き勝手言い放題のメディアや
我々のような外野に対する
非難も暗に込められてたのだろう。

評価が高いのは理解できるが
個人的にはやはり
裁かれるべき者が裁かれない、
いい思いをしたまま勝ち逃げなのは
フラストレーションが溜まるー!
(エイミーはもちろん
子育て少しも失敗したと思ってない毒親、あとモーテルの男女なんかも)
冒頭とラスト、全く同じシーンなのに
受け取り方が180度変わる
という演出はとても好き。

世間から絶大な支持を得た奇跡の妻
改心した良き夫
これから産まれてくる子供の父と母。
それぞれ与えられた役割をこなしていく日々の先にあるものは。
憑依型俳優と呼ばれる人たちが
舞台を降りた後もなかなか
役が抜けないという話をよく聞くが
「サンセット大通り」の
ノーマ・デズモンドさながらの
思い込みで演じ続けていれば
そのうちそれが本当の姿になるかもね。

唯一の懸念は産まれてくる子供が
環境のせいで
ソシオパスまっしぐらなこと。
負の連鎖は恐ろしい。

結婚するなら
パートナーを選ぶなら
身の丈にあった、無理をせず
一緒に居られる人と。教訓です。
naorin

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