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天才スピヴェットのkazcoのレビュー・感想・評価

天才スピヴェット(2013年製作の映画)
4.0
凄くモヤモヤしている。
観る前に予想していた天才少年の言動・行動が周りの人間の価値観・世界観をどんどん変えていくような映画だと思っていたことが全くの的はずれだったということもあるけど、
1番は映画の感想に対して、
レビューを読んでいると愛に溢れてるとか、スピヴェットが可愛いみたいな内容ばかりが目につくけど、そんな甘ったるい映画でもないように自分は感じた。

映画の見所であるスピヴェットの一人旅を肯定的に捉えてる感想が殆どだけど、
この旅に出た理由は弟が死んだことで家族間に距離ができ、本来1番の理解者であるはずの家族にスピヴェットの才能が認めてもらえない、さらには構ってももらえない状況が、自分の才能を認めてくれた学会のあるワシントンに足を運ばせたわけだし…、確かに観ててワクワクする旅ではあるんだけど全肯定はできない。
最後はオカン出てきてオトン出てきてめちゃラブハッピーな感じで終わるから愛に溢れた映画という印象が強いのかもしれない。

そもそも主人公は映画のタイトル通り天才ではあるけど、天才ゆえの苦悩はしてなくて(あまりに論理的に喋るから大人からやっかみは受けるけど、ここは少し前の春風ちゃんを思いだした)、悩んでること自体はごく普通の子供が抱く悩みと変わらない。それは親に構ってもらえないということ、弟を殺してしまったという罪の意識。
天才やけど、それ以外は普通の子供やでっていうことを考えながら観ると、やっぱりそんなに手放しで大絶賛できる映画ではないと思った。
天才に引っ張られがちだけど、一人で旅に出ることを決意したこの行動力が結果的に家族を一つにしたことを思うと天才というのはオマケに過ぎない気がする。

散々書いたけど、映画はホームアローンの様な快活な少年のドタバタストーリーでとても楽しめた。
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