えいがドゥロヴァウ

インヒアレント・ヴァイスのえいがドゥロヴァウのレビュー・感想・評価

インヒアレント・ヴァイス(2014年製作の映画)
4.2
はぁ〜心地良い
ずっと浸っていたい
ポール・トーマス・アンダーソンはやはりポール・トーマス・アンダーソンです

1970年のロサンゼルスを舞台に私立探偵のドック(ホアキン・フェニックス)が元カノからの依頼と彼女の失踪を契機に調査を進めていきますが
不動産王の取り巻きやら警察やら自警団やら謎の組織ゴールデンファング(金の牙)やらが絡んできて
登場人物が多くてゴチャゴチャします
トマス・ピンチョンの原作は読んでいないので何とも言えませんが
本作の主体は決してミステリの類ではなく
すなわち知恵比べを買って出て相関図を把握しきる必要はあまりないように見受けられました
…ので、僕も把握しきれていません(笑)

ドックはヒッピーな探偵
クスリもやるし
とにかくずーっとマリファナを吸っています
彼なりに真剣に調査はしているのですが
彼自身が状況を動かすよりも周りに動かされる場面のほうが多く
メモの取り方も雑だし頭の中が穴だらけ
「中毒者の勘」なる謎の特殊能力が一撃必中の必殺技

ヒッピーは蔑まされます
クスリをやってばかりで現実を見ないから
では、その現実とは何か?
警察官の汚職や欺瞞
タレコミや裏切り
ドラッグビジネスのえげつない陰謀
そして大義なき戦争で
ベトナムのジャングルにおいて無闇に命を奪われ続ける兵士たち…
暗い話ばっかりで
国家やあらゆる権力が信頼を失い
パラノイア(肥大妄想)やデリュージョン(幻覚)がはびこる
慰めにプッシーをペロペロしてチョコバナナをレロレロして
日本料理屋のパンケーキ(何故?笑)に舌鼓
さながらバッド・トリップな世の中で
フワフワとしたドックがそんなドックだからこそ
八面六臂の活躍を果たすのです
この独特な味わいはクセになりますね
そして最後に(謎の)良い人っぷりを発揮するドック
シニカルをコミカルで包み込んだ痛快作
そうです、これこそが知性です

ポール・トーマス・アンダーソン
トマス・ピンチョン
キャストもホアキン・フェニックスをはじめジョシュ・ブローリン、ベニチオ・デル・トロ、オーウェン・ウィルソンと
とにかくクセがすごい!笑

よし、ブルーレイ買おう