ワンコ

コードネーム U.N.C.L.E.のワンコのレビュー・感想・評価

コードネーム U.N.C.L.E.(2014年製作の映画)
4.2
【United Network Command for Law and Enforcement】

※個人的なプチ・ガイ・リッチー祭り

ドラマ「ナポレオン・ソロ」のリメイクだが、ドラマを観たことがない人が圧倒的じゃないかと思う。僕もそうだ。ミッション・インポッシブルも似たようなものだった気がする。

本来のドラマタイトルは「0011ナポレオン・ソロ」らしいが、知っている人に聞いても”0011”が付いていたとは知らなかったと言っていた。

映画「コードネーム U.N.C.L.E.」の舞台は東西冷戦が沸点に達していた1960年代。キューバ危機もこの頃だ。

そして、映画の公開は2014年。

2014年はロシアが豹変し、クリミア半島に侵攻・占拠した年だ。

それゆえ、この冷戦下の米ソ・スパイのタッグを組んだ痛快なストーリーは皮肉な感じに映った。

米ソのスパイが連携するなんて聞くと、007シリーズの「私を愛したスパイ」を思い浮かべる人は多いと思うが、この作品の制作は1970年代のデタントの頃だ。だからと言ってはなんだが、1960年代に放送されたオリジナルドラマがいかに時代を先取りしていたが分かる。

(以下ネタバレ)

それに、この「コードネーム U.N.C.L.E.」を見る限りは、ロシア人スパイのイリヤを短気で粗野に描く一方、実は頭の回転が速く、不遇な処遇を受けた父親想いで、無骨だが女性に対する気遣いも見せるキャラクターとして見せている。

これに対し、ソロは、ガイ・リッチー作品にはあまり似つかわしくないスタイリッシュで冷静、機転も効く感じだ。

映画の前半は、静かに進行する感じでソロとイリヤの腹の探り合いが主だ。
金網を切断するガジェットを競ったり滑稽だが、個人的には、ストーリーと直接関係のないクラッシックなフォーミュラー・カーが出てきたところでちょっとワクワクした。
ギャビーの自動車のメカの知識も役に立つのかなんてことも期待したが、あっさり終わって残念だった。
ギャビー、かわいいし。

後半から終盤にかけては、こんな二人が最初はいがみ合いながらも、次第に力を認め合い、ギャビーに翻弄されながらも、お互いが相手の命を救うなどして、最後は、世界を核の危機から救うという展開になっている。

007シリーズのように、事態を好転させるような発明品が出てくるわけではないので、ちょっとユーモア不足の感はあるが、国家や主義主張を超えて......ってところは、今だからこそ受ける気もする。

個人的には、ガイ・リッチーらしさも出ていて好きな作品。
公開翌年のTime誌の映画TOP10にも入った娯楽作品だ。
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