サン=テグジュペリによる絵本『星の王子さま』を映画化したアニメーション作品。
主人公は「いい子」でいることを強いられる少女。その少女と母親の人物描写も なんなら今時ベタ過ぎるくらいにやってるんですよね。「きちんと勉強・運動をする」「規則正しく計画通りに毎日を過ごす」ことが後々の人生を豊かにする………ことはわかってるよ! 大人になった現在の自分からすると分かりすぎるよ!と、開始20分までは、これが自分でも意外な程につらかった。
お母さんの言ってることもあながち全部間違ってるわけじゃないけど、効率や規律だけを追求していくとどうなるかは、少女が後半で訪れるある場所が示してますよね。だからこそ「夢や希望を持つこと、想像力をはたらかせることって大切なんだ」というこの作品のストレートにも程がある精神性は、心に響かずにはいられなかったり。
映像の色彩や質感も素晴らしく、「大切なことは目に見えない」というその言葉の通り、観客の想像力を掻き立てる余地を残している辺りにも好感を持ちました。