針

天使のはらわた 赤い眩暈の針のレビュー・感想・評価

天使のはらわた 赤い眩暈(1988年製作の映画)
3.8
日活ロマンポルノ「天使のはらわた」シリーズの一作。今までは原作・脚本を担当していた石井隆が、自身でメガホンを取っています。
看護師の名美(桂木麻也子)と、破滅しかかっている証券マンの村木(竹中直人)、ふたりの邂逅をエロティックに描く。

「性」をクローズアップしたアメリカン・ニューシネマみたいな映画でした。自分がいままで観た『赤い教室』『名美』『赤い淫画』の中ではおそらく一番シンプルな話で、見応えでは『赤い教室』に負けるけど納得感では一番だったかなー。
理由はおそらく、「そこはそううまくはいかなくない?」と思う部分がうまくいく、つまりファンタジックな展開が一点に絞られてることと、ちょっとイイこのお話も結局主人公ふたりにとっては束の間の慰めにすぎないからだと思う……。その点、甘美な夢物語と現実感覚とが微妙なところでバランスを取ってる気が自分はしました。

序盤は若干怪奇ものっぽい雰囲気が強い。音と撮り方もいろいろ工夫していて飽きない映画でした。
あとは相手役の竹中直人の非常にみじめったらしい演技に尽きるかなぁ……。


ただ自分は、「性」というのは人間の本質とかでは全然なくて、せいぜい人間関係の一側面である男女関係の一部分に過ぎないのではという感じなので、ロマンポルノにそこまでのめり込む感じはまだないのですが……。他の方々はどういう視点で観てるんでしょう。

一点だけコメントに。
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