針

マッドマックス 怒りのデス・ロードの針のレビュー・感想・評価

5.0
「クソ! そいつは俺の愛車だぞ!」

『フュリオサ』観てから観なおすかーと思ってたんだけど我慢できずに予習。
荒みきった未来世界の独裁者、イモータン・ジョーの砦から逃げ出したフュリオサ&女性たちと、偶然彼女たちと共闘することになったマックスが繰り広げる、バイオレンスなノンストップ・アクション・大逃亡劇。

観るのはこれで3度目なのですが、やっぱりめっちゃくちゃに面白くて、傑作と言わざるをえないなーという気分にさせられてしまいました。
今回シリーズを通して観た結果…………
この映画は『マッドマックス2』の終盤で完成した、逃げる者と追う者とが高速走行しながら車上で殺し合う!!! というバイオレンス・アクションのくだり自体を映画の核に置き、それをやれるだけやることを目的にストーリーもプロットも構成した作品なんだなーというふうに自分は理解しました。

○マックスが捕まった瞬間にドーンとタイトルが出るまでの冒頭の狂騒感もたいがい!
しかしウォー・タンクのフュリオサたちと、それを襲うイモータン一味との戦いを描いた序盤と終盤のアクションシーンがとにかく圧巻すぎる……!
「動き」のテンポを瞬間ごとにスローにしたりファストにしたりと細かく調整していて(してるよね?)、その積み重ねが織りなすバネ仕掛けみたいなアクションシーンの連続がとにかく快感でした。それとトゲトゲ車のシーンのあとは火炎槍パートをやって、その後は谷間のバイカーによる空中戦をやって……みたいな感じで、数分ごとに細かくパートを切り替えながらのべつまくなしに新たなアイデアを投入してくる感じも贅沢極まりないなーと。
後ろで鳴ってるドゥンドゥクドゥンドゥ、ドゥンドゥンドゥドゥンドゥ~♪っていう太鼓みたいな音も最高にいいです。

○終末世界における女性たちの抵抗というストーリーも、男だらけのあの世界観を相対化する感じが単純におもしろいし、主演のシャーリーズ・セロンとトム・ハーディもがっちり存在感があって強い。序盤はむしろマックスが誰よりも野蛮人みたいに凶暴な人間なのも好き。

○そのへんと比べると構成はわりとふつうかも、とは正直思います。後半のターニングポイントの部分、むかし劇場で初めて観たときには「そうだよねー、それが一番現実的な考えよねー」とか思って深く納得した記憶があるのですが、2回、3回と観なおすとそんなに説得力ないなーと思いなおしたり😁。ある意味リアリスティックではあるけど、絶望を一度飲み込んだうえで無理やり希望を見いだすみたいな考え方ではある気がして……。でもこのターニングポイントは終盤のドンチャン騒ぎのためにはぜひとも必要ではある。あとはそうした気になるところを押しのけるぐらい自分はアクションの魅力に心を持ってかれてしまったので、まぁ多少はええかなーという気持ちです。

何度観ても興奮の度合いが下がらない作品もそうそう無いかなーと思って、5.0を付けさせていただいた次第……。
ちなみに『フュリオサ』を観る前にこっちを観なおしたのが、よかったのかわるかったのかは難しいところ。逆順でもいいのかもしれません。
針