ボブおじさん

監視者たちのボブおじさんのレビュー・感想・評価

監視者たち(2013年製作の映画)
3.6
間抜けな子豚が一生懸命修行して仔鹿になるまでの物語。

新人刑事がベテラン刑事に鍛えられて一人前になる。今まで何度も映画の中で見てきたプロットだ。そこで新人刑事を女性にして、並はずれた記憶力と観察眼の持ち主という設定にしたまでは良かったのだが…。

犯罪組織を監視する警察の専門チームと彼らの監視の目をくぐり抜ける犯罪グループとの攻防を描いたクライム・サスペンス。

犯罪グループの完璧主義のリーダーを「私の頭の中の消しゴム」や「無垢なる証人」のチョン・ウソンが冷徹に演じ、これまでのイメージを覆す見事な悪役ぶりを披露する。

対する警察側はヒロインの新人刑事を「ビューティー・インサイド」のハン・ヒョジュ、そしてベテラン刑事を「殺人者の記憶法」のソル・キョングが軽妙に演じている。

善と悪の対比を狙っているのだろうが、全体を通してこの〝陰と陽のコントラスト〟が上手く機能しておらず、むしろ作品としての統一感を欠く印象を受けてしまった。

ヒロインの特殊能力も事件と直接関係のない冒頭のシーンが一番印象に残り、その使い方にもう一捻り欲しいところだ。

個人的には、犯罪組織と警察側の緊張感溢れる駆け引きをもっと強調し、ここぞという場面でヒロインの能力が生かされる作りにした方が良かったと思うのだが。