けーはち

平成ライダー対昭和ライダー 仮面ライダー大戦 feat.スーパー戦隊のけーはちのレビュー・感想・評価

3.2
「お前のようなひよっこを、ライダーと認めるわけにはいかん!」

仮面ライダー1号・藤岡弘をはじめとする錚々たる数々の過去作品オリジナルキャストを客演させ、やらせることは「話の通じない頑固オヤジ」だったり、本編でとっくに終わったはずの後悔だったり、話の都合でくっついたりケンカしたりする意味不明な展開……

ミレニアムから始まった平成ライダー15年を飾る悪の仮面ライダー・フィフティーンの登場と、平成vs昭和のまっぷたつに分かれてライダーが戦う世代間闘争の一大記念碑的作品(そして同じ東映ニチアサ枠のスーパー戦隊も参戦)。

過ぎたるは及ばざるがごとし、詰め込んだコンセプトで話は破綻、闇鍋ごった煮味付けメチャクチャ、ジオウにいわく「平成の凸凹」の象徴というべき怪作であり迷作である。

冒頭に掲げた1号ライダーの突然の説教、意味不明な地下帝国=黄泉の国設定、意味不明な「ライダーたちはヘルヘイムの森で全員無事だ!」という復活、意味不明な再度の決裂、「一輪の花を守る優しさ」云々の意味不明な和解、等等、よくよく意味不明な奇怪な決めフレーズが散見され、とにかく話のキーポイントを勢い任せで通す、それはもう惨憺たる作劇。

何はともあれ沢山レジェンドライダーが出てくるだけで嬉しいし、展開の破綻は重大なるも、好事家(子供はともかく大人になって仮面ライダーなんぞ観ている趣味人)にしてみれば、またそれもクセになる珍味ですらある。

そして悪のライダー、フィフティーンを演じるのは、未成年者との淫行で逮捕された経歴を持つ芸人・板尾創路(キッズ作品への出演はおおよそ相応しくないが、もはや過去の話か……?)。「おや、15とは、彼が淫行を働いた未成年者の年齢に引っ掛けてのことか?」と思いきや、Wikipediaを確認してみたら、当時14歳と、思ったより若かった。この野郎‼︎‼︎

閑話休題。本作ではライダー大集合・大戦系のいわゆる「春映画」のお腹いっぱい、飽和感はもはや頂点に達し(そりゃ『アベンジャーズ』を5年も6年も毎年やるようなもんで)、ついに次年度の『仮面ライダー3号』でその命脈が尽きることになる。しかし本作もライダーというコンテンツが瞬間瞬間を必死で生きた証なのだと温かい目で見ていって欲しい。