june

アマデウスのjuneのネタバレレビュー・内容・結末

アマデウス(1984年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

昔何度も観ていて、きょう久しぶりに観たけどやっぱり好き
ところどころ覚えてないところもあって、こんなシーンあったっけと思いながら、でも好き
どこか「ベニスに死す」「山月記」を彷彿とさせる軽蔑と羨望と嫉妬と崇拝の渦に巻き込まれて時間を忘れてしまう

アントニオ・サリエリは決して無能ではなかったが天才でもなかった、その天才が生み出す脳内の景色を写し取るだけで精一杯だと気づいたことは彼の有能さを実感させる
才能に恵まれますよう、栄光がありますよう、と神への信仰を続けた者がほんとうに神に選ばれた人間を見たとき
ただ彼が凡庸だった点はそのときの選択にあったのかもしれない
我々もそうである、得難き神の才を前にしたとき、理解しようとすると人は狂う
モーツァルトは人に理解できないほどの狂気の音楽を作ってしまった
半端な才能を持って生まれた人はあまりにも天才に敏い
自分では理解できない、理解しようとした瞬間に狂ってしまう神のわざを彼は彼のレクイエムを写しとることでわずかでも肉薄した 境地に

サリエリは高らかに指揮する、彼は凡才のための神殺しの指揮者である、彼の手は人々に向けられ、指示が下る
すべての凡庸な人間に、その選択に、赦しがあるよう
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