このレビューはネタバレを含みます
天才に打ちのめされた秀才 という話かと思いきや、ずっと深くて立ち位置が二転三転する。
全く別ジャンルだけど、映画「ジョーカー」が楽しめた人にはバッチリささると思う。
主人公である落ちぶれた老人サルエリが語る自身とモーツァルトの生涯は、
神に愛されるべき求道者のようなサルエリと、自分とは真逆の神の子じみたモーツァルトとの比較と関わりに終始する。
秀才vs天才という図式に収まるかと思いきや、それは物語の「承」の部分であり、
個人的にはモーツァルトを通してサルエリが神と対話する話だと思った。
サルエリ と モーツァルト=神 との争いを経て、
サルエリ と モーツァルト と 神 の3つの関係性が書かれいく。
脇役でしかない皇帝・父・モーツァルト夫人が場面場面で良くも悪くも決定的行動を起こしていき、
それが着地点の見えていた2人の運命を全く先の見えない報告に動かしていく。
一見すると硬い映画かと思われるが、音楽の知識がなくても全然楽しめた。
(音楽の知識があれば3倍楽しめた気もする)
一回は見るべき名作だけど、見るのに体力を使うので、
見てない人には時間がある時にみて欲しいと思った。
時間を置いてまた見た時、自分の感想がどう変わるのかが楽しみ。