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キカイダー REBOOTのsithmaroのレビュー・感想・評価

キカイダー REBOOT(2014年製作の映画)
2.5
キカイダー復活を匂わせる発表があった時はどれだけ喜んだことか。
まだ正式な発表がなかった時に、ラジレンまつりでキカイダーの話題を振られた白倉伸一郎が「え?あれヒートトリガーじゃないですかね?」なんてバレバレな嘘で会場の笑いを取っていたのも良き思い出。

この映画はそんな期待を見事に打ち砕いてくれた(苦笑)
旧作に対しても、原作に対しても、あまりリスペクトを感じない。
それどころか観客が特撮ヒーローに求めるものを理解していない。
暗くて何をやっているのかよく解らない戦闘シーンなんていらない。
カタルシスに欠けるヒーローなんていらない。

石ノ森章太郎が描くヒーローとは苦悩するヒーローだ。
原作でキカイダーが戦うダークのロボットの産みの親はキカイダーと同じく光明寺博士だ。
兄弟と戦う苦悩。
不完全な良心回路によって正義と悪の狭間で揺れ動く苦悩。
特に兄弟と戦う苦悩に関しては、そもそも意志疎通が可能なダークのロボットが登場していないというのが問題。

そしてもう1つ大きな問題がある。
ハカイダーの扱いだ。
ハカイダーと言えばダークヒーローの先駆けであり、キカイダー以上に人気のあるキャラだ。
そして多くのファンが求めるハカイダーはギルハカイダーではなく、サブローだ。
それもどちらかと言うと原作ではなく、旧作テレビシリーズのサブロー=ハカイダーだ。
キカイダーの弟であり、キカイダーを破壊するためだけに作られた東映特撮屈指のライバルだ。
卑怯な手口を嫌い、正々堂々と戦うことを心情とする敵ではあるが、必ずしも悪とは言えないキャラだ。
原作でも旧作でもサブロー=ハカイダーとの決着はついていない。
突然登場した白骨ムササビとかいう訳の解らんキャラに敗れ「どうせやられるなら、俺はお前に、お前にやられたかったぜ、キカイダー」とジローの腕の中で機能を停止したハカイダーを弔ってやりたいというのがファンの心理だ。

まぁ、サブローに関しては続編でやりたかったのかもしれないが、今作品はその期待できるような続編を作れるような作品ではない。

だいたいなんで特撮の経験がない監督にメガホンを取らせたのだろう。
こういう大事な作品は田崎竜太か坂本浩一辺りに撮らせるべきだったのではないか。

と散々ケチをつけたが、ギル役の鶴見辰吾、ミツコ役の佐津川愛美は良かった。

この流れのままの続編は観たくないし、今後無いとは思うが、新たにキカイダーという作品を作り直してほしい気持ちは強い。
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