風祭ゆきが素晴らしい。淫靡な、グロテスクなポルノ的イメージが、ラストでその極限の夢魔的イメージに変貌して、ある種の荒唐無稽なポエジーにまで昇華していく瞬間の、めまいのような興奮は唯一無二のものがある。
なんでもない日常の情景が、彼女の官能の振幅に応じて、みるみる変貌していく。その末に、眼の前で若者たちの集団に妻が犯された後、今度は若者たちの眼の前で、夫が妻を犯す。こうして、夫と妻の日常関係がスリリングに逆転する。
セックスは日常を揺るがす危険なドラマの起爆剤だ。小沼勝のロマンポルノには、いつも危険な魅惑の香りが漂っている。