サイクルヒット

紙の月のサイクルヒットのレビュー・感想・評価

紙の月(2014年製作の映画)
3.9
繊細さと大胆さを備えた難しい役どころを宮沢りえさんが好演しています。彼女が様々な人や世界を見る目の芝居が素晴らしい。池松壮亮さんもまた然り。二人の攻守の鬩ぎ合いや関係性の変化が興味深い。そして彼女が悪事に手を染めていく過程の表現も上手い。いい映画なんです。しかし、映画のビジュアルイメージが微妙。札が舞うなかこちらを見ている宮沢りえ、コピーが「最も美しい横領犯」。実につまらない。物語の展開が想像できて、実際その通りの筋だった。しかし映画的な面白さがあった。だからこそビジュアルイメージが大事で観たいと思わせる何かを提示して欲しい。そうでないといい映画なのに観る機会を逃しちゃうかもしれないのよ。たまたま配信で見放題だったので期待せずに観たら当たりでした。対比的に描かれる役どころの小林聡美さんもいい仕事しています。