上空連打谷口

紙の月の上空連打谷口のレビュー・感想・評価

紙の月(2014年製作の映画)
3.8
一回だけ…は破滅の始まり映画ランキング第1位

舞台は1994年。夫と2人暮らしをする主婦の梅澤梨花は、銀行の契約社員として外回りの仕事に従事し、その丁寧な仕事ぶりで周囲にも評価されていた。何不自由ない生活を送っているように見えた梨花だが、自分への関心が薄い夫との関係にむなしさを感じていた。そんなある日、大学生の光太と出会った梨花は、光太と過ごすうちに顧客の預金に手をつけてしまう。最初は1万円を借りただけのつもりだったが、次第にその行為はエスカレートしていき…

〜ネタバレ含む感想〜

宮沢りえさんが素晴らしい。
側から見たら幸せそうで、素朴な雰囲気を纏いながらも、家庭などのちょっとした闇を抱えている様を見事に演じていた。
梨花は誰かに施して、それを受けた人が幸せなら自分も幸せだと話すが、施している自分に酔っている様にも見えた。冒頭や途中途中に挟まる女子高生のカットが繋がった時に、それを強く感じた。

また大島優子さんの役ところも良かった。
大島さんが「やりたいことをやった方がいい」と言って、自分がどれだけ好き勝手やっているのかを話し、その上で「自分ならやりそうでありがちでしょ?」という自虐まで放つ。それを間に受けた梨花はどんどん沼へとはまって行くが、彼女が寿退社をしたと聞かされる。
結局やりそうな人は上手くやり繰りが出来るから、最終的に自分の居場所をコントロールする。
けれど意外だったりやらなそうな人はやっぱり向いていないから、行き過ぎてしまったり後戻りできない場所に走ってしまう。
この対の描き方がうまかった。

終わり方がめちゃくちゃカッコいい。
最後に悪は倒される、終わりを見ると思っていたばっかりにあのラストは秀逸だった。