現邦画の最高峰。
素晴らしい。
原作は未読なんでわかりませんが、またしても大八さんにしてやられた。
「時計じかけのオレンジ」
「2001年宇宙の旅」
キューブリックが同じテーマを掲げ連続して傑作を生み出したように、この「紙の月」も「桐島部活やめるってよ」に引き続く紛れもない傑作。
金に魅せられ落ちていく宮沢りえの狂気と美しさ、欺瞞渦巻く組織を舞台とした犯罪劇、そして一人の人間の栄光と没落を描く物語。
序盤中盤はこういった要素を素直に楽しめる。が、物語がネクストレベルに到達するのは終盤以降。ここが吉田大八はいつも凄い。もはや吉田ゾーン!人間が信じてる価値みたいなものを真っ向から破壊しにかかる。
小林聡美とのラストのタイマンシーン。お金も人も"行くべき場所へ行きつく"のが世の常。旺盛を極めた宮沢りえもそれを甘んじて受け入れる。という展開になるかと思いきやそれを超越したところへ話が進み始める。そして文字通り彼女が窓を破壊し走り去っていくスローモーション。聖歌『君なるイエスは今生れ坐しぬ』が鳴り響く。スターチャイルド宮沢りえの誕生!これを映画的と言わずしてなんと言おうか。
監督曰くスコセッシの「グッドフェローズ」を参考にしたらしいが、納得。